Outline of Annual Research Achievements |
a,b,cを互いに素な固定された1より大きい正の整数とする. このとき, 指数型不定方程式 a^x+b^y=c^z (1)は高々有限個の正の整数解 x,y,z を持つことはよく知られている.2015年, LeはBaker理論を用いて, max{x,y,z}< 155000(log M)^3 を導いたが, この上界はとても大きいので, 計算機を使って(1)の解を決定することはまだ難しい. ここで,M=max{a,b,c} である. a,b,cが特別な数の場合には, (1)の解を決定するのは難しくない. 例えば, a^2+b^2=c^2やa+b=c^2の場合は合同式・平方剰余相互法則・Baker理論を用いて, (1)の解をいくつかの条件の下で決定できる. 指数型不定方程式 (4m^2 + 1)^x + (45m^2 -1)^y = (7m)^z について, Laurentによる2つの代数的数の対数の1次形式の絶対値の下からの評価を用いることにより, ただ一つの正の整数解(x,y,z)=(1,1,2)を持つことをある合同条件の下で示すことが出来た. この結果を含む論文は, 2021年にInt. J. Algebra で出版された. また, 「ラマヌジャンのタクシー数1729 の不思議」という題目で数理情報科学さくらセミナー2022(於鹿児島大学理学部+Zoomによるオンライン開催)において講演した.
2021年10月2日・3日に, 「2021大分整数論研究集会」を代表世話人として「Zoom によるオンライン形式」で主催した. 多重ゼーター関数, 数論幾何学, 代数的整数論, 解析的整数論, 不定方程式論に関する素晴らしい講演が行われ, ハンガリーの研究者や若い大学院生を含めて多くの出席者(約100名)があった. 各講演について活発な質疑応答があり, 整数論の研究者と有意義な意見交換ができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
a,b,cをa+b^2=c^2を満たす固定された互いに素な正の整数とする. ピタゴラス数に関する不定方程式の予想である, 有名なJesmanowicz予想の類似として, 指数型不定方程式a^x+b^y=c^z (*) はただ一つの正の整数解(x,y,z)=(1,2,2)をもつという予想を考える. ある条件の下で,初等的方法によりxは奇数, yは偶数, zは偶数であることが従う. 最終的には(*)をPillai方程式に帰着し, Baker理論を用いて解くことが出来る. レピュニット数RnはR_n=(10^n-1)/9=111・・・1(=1がn個並ぶ)で定義される. 各桁にa(1≦a≦9)がn個並ぶaR_n=a(10^n-1)/9=aaa・・・aはレピュジット数と呼ばれる.これらは(10R_n+1)+(5R_n)^2=(5R_n+1)^2, (3R_n(9R_n+2))+(3R_n+1)^2=(6R_n+1)^2, (5R_n(9R_n+2))+(2R_n+1)^2=(7R_n+1)^2という指数関係をもつ.例えば, 11+5^2=6^2, 111+55^2=56^2, 33+4^2=7^2, 3333+34^2=67^2,55+3^2=8^2, 5555+23^2=78^2が成り立つ. これらのレピュジット数に対し, 指数型不定方程式 (10R_n+1)^x+(5R_n)^y=(5R_n+1)^z, (3R_n(9R_n+2))^x+(3R_n+1)^y=(6R_n+1)^z, (5R_n(9R_n+2))^x+(2R_n+1)^y=(7R_n+1)^z がそれぞれ自明な解(x,y,z)=(1,2,2)をもつことを示すことが出来た. これらの結果を含む論文を雑誌に投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
Jesmanowiczの予想は, a,b,cをa^2+b^2=c^2を満たす正の整数とするとき, 不定方程式a^x+b^y=c^zはただ一つの正の整数解(x,y,z)=(2,2,2)をもつという予想である. この予想の類似として, 一般化されたRamanujan-Nagell方程式 x^2+b^m=c^m(ここでbは奇数)はただ一つの正の整数解(x,m,n)=(a,2,2)をもつという予想を本研究代表者は1993年に提起した. bまたはcが素数(ただしa≡4(mod 8))などいろいろな場合にこの予想が正しいことが示されているが, これはまだ未解決の難問である. x^2+D^m=p^cに関するBugeaud-Yuanの定理, Lucas数列に関するZsigmondyの定理, Baker理論に関するBHV定理, 一般化されたFermat方程式に関する種々の結果を組み合わせることにより, b^2+1=2cの場合に, ある条件の下でこの予想が成り立つことを示したい. これを示すことができれば, 105=3・5・7以下のすべての奇数bに対しこの予想が成り立つことが分かる.
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