2018 Fiscal Year Research-status Report
表現論的構造のパラメタ変形がもたらす特殊関数・組合せ論の研究
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18K03248
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
木本 一史 琉球大学, 理学部, 教授 (10372806)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アルファ行列式 / 非可換調和振動子 / 帯球関数 / プレシズム / スペクトルゼータ関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では表現論的構造のパラメタ変形に由来する問題を対象としている。本年度は、アルファ行列式(関連して帯球関数、プレシズムなど)と非可換調和振動子(のスペクトルゼータ関数の特殊値)について以下のような研究を行った。 (1) グラフの不変量の探索、および相関行列のイマナントの漸近評価の変形・一般化といった観点から、完全グラフおよび完全二部グラフの無限族のラプラシアン行列に対するアルファ行列式の極限公式を与えた。この結果は日本数学会秋季総合分科会などで講演した。 (2) 対称群の帯球関数およびラテン方陣に関するAlon-Tarsi予想と関連する話題として、一般線形群の表現のプレシズム(「標準表現の対称テンソル積」の対称テンソル積)の記述を、特別な場合(外側の対称テンソル積の次数が3の場合)に限るが、Howe双対性((GL_n,GL_k)-双対性)の立場から多項式環において構成されるある代数を利用して行った(シンガポール国立大学の Lee Soo Teck 氏との共同研究)。この結果は現在、論文にまとめている最中である。 (3) 非可換調和振動子のスペクトルゼータ関数の特殊値に関して、それに付随して定まるアペリ型数列について、これまでに得られた結果を論文としてまとめており、現在、その最終段階にある(九州大学の若山正人氏との共同研究)。関連して、非対称量子ラビ模型のスペクトル退化に関する論文を投稿中である(九州大学の若山正人氏、東京工業大学の Cid Reyes-Bustos 氏との共同研究)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルファ行列式についての問題、プレシズムの問題、非可換調和振動子の問題のそれぞれにおいて一定のまとまった結果に到達して、学会講演および論文作成・投稿を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の諸問題について引き続き研究を進める。有限グラフの無限族に対するアルファ行列式の極限挙動については、さらに様々な具体例における計算・観察を進めつつ、一般的な定理(たとえば色々なグラフ不変量との関係、アルファ行列式の値が退化するパラメタの意味付け)を模索する。プレシズムについては、Howe双対性に基づいた多項式環における具体的計算による最高ウェイトベクトルの捕捉という手法を活かして、さらに一般的な状況を考えること、またその手法を帯球関数の計算やAlon-Tarsi予想といった本課題の基本問題へと応用することを念頭に研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
自身の科研費で旅費をまかなう予定だったシンガポール国立大学への出張において、先方が旅費を出してくれることになった。この出張は年度末で、そのために直接経費の使用をやや控えめにしていたのだが、結果として余ることになってしまった。 次年度は、基本的には予定通りの予算配分で進めるが、繰越された研究費については、古くなってきたデスクトップPCの刷新、10月に沖縄で行う予定の研究集会の会場費などに充てる。
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Research Products
(2 results)