2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K03249
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
上原 北斗 首都大学東京, 理学研究科, 准教授 (80378546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 連接層の導来圏 / 三角圏 / 代数曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
Bondal-Polishchukにより三角圏の例外生成列全体の集合には組み紐群が作用することが知られていた。さらに彼らはこの組み紐群の作用は(シフトの差を除いて)推移的であることを予想した。例外生成列に三角圏の自己同値を施せば新たな例外生成列が得られ、上で述べた組み紐群の作用と全く無関係に得られているように見える例もあるため、私はこの予想については懐疑的であった。 一方、OrlovとKleshovらはこの予想をdel Pezzo曲面の導来圏の場合に示した。del Pezzo曲面の導来圏の自己同値群は、直線束のテンソル、自己同型、シフトで生成されることが知られており、ある意味とても単純である。実際、すべての例外対象は連接層のシフトで得られるので、Bondal-Polishchukの予想が成り立ってもそれほど驚きではなかった。 そこで私は阪大の大川新之介氏、名古屋大学の石井亮氏とともに、weak del Pezzo曲面の場合に、この予想が成り立つかを調べた。weak del Pezzo曲面の場合は、(-2)曲線が存在しうり、それが理由で非常に非自明な自己同値である"捩れ関手"が存在する。捩れ関手を例外層に施すことにより、例外層のシフトでは得られない例外対象が存在する。そういった理由から、weak del Pezzo曲面の場合には、Bondal-Polishchukの予想がdel Pezzo曲面の場合に比べ非常に難しかったが、結局肯定的に解決することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Bondal-Polishchukの予想は30年も前に提出された予想にもかかわらず、本質的に上述のBondal-Kuleshovの結果しか知られていなかった。今回の我々の結果は、自己同値群が非自明なweak del Pezzo曲面の場合に、上記予想を解決した点で非常に満足のいくものである。
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Strategy for Future Research Activity |
Kuznetsov-Shinderによる、単連結な代数多様体が導来同値ならL同値であろうという予想の反例を構成したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、3月に予定していた出張が中止となったため次年度使用額が生じた。今年度も出張はしにくいと予想されるので、コンピューターの通信環境を整え、リモートでの研究がしやすくなるようにしたい。
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Research Products
(1 results)