2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K03249
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
上原 北斗 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (80378546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 連接層の導来圏 / Enriques曲面 / 自己同値群 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数曲面の自己同値群の生成元は (1)標準束がねじれ元の場合、(2)極小楕円曲面であって、標準束がねじれ元でない場合、(3)上記の(1),(2)以外の場合 によって、それぞれ様子が大きく異なることが知られている。(2)と(3)の場合は私の結果により、ある種の場合は生成元が決定され、他の場合も同様であろうと予想される。(1)の場合のうち、アーベル曲面の場合はOrlovにより自己同値群の生成元はわかっており、K3曲面の場合もBridgelandによる自己同値群の様子に関して予想があり、ピカール数が1の場合はこの予想が正しいことが知られている。また、超楕円曲面の場合もPotterにより自己同値群の生成元が調べられている。 そこで私は残っているEnriques曲面の場合を調べたい。Enriques曲面の場合は、しばしば球面対象と呼ばれる対象が存在し、それに付随し捻じれ関手という非自明な自己同値が存在する。一方、Enriques曲面には例外対象と呼ばれる対象が常に存在し、それにも付随して捻じれ関手が構成できる。これらの捻じれ関手はEnriques曲面の自己同値群の記述を難しくしている。 私はEnriques曲面上にどんな球面対象が存在するのかを調べ、階数が4のベクトル束になるものについては、階数が2の球面関手とある種の例外対象による捻じれ関手によって構成できることを示した。私は継続的に代数曲面の自己同値群の研究を行っているが、まずは球面対象の構造を調べることにより、その自己同値群を明らかにできることが多く、Enriques曲面でも昨年度行った研究が自己同値群の研究に結び付くと期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Enriques曲面の例外対象、球面対象の研究は、上で述べたように、その自己同値群の研究の第一歩であると考えるから。
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Strategy for Future Research Activity |
Enriques曲面上の球面対象でベクトル束になるものの階数は必ず偶数になることが示せる。このうち、階数は2、4となるものに関しては、ある種の記述を見つけた。この結果を任意の偶数階数のものに一般化したい。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で出張が一切できなかったということ。今年度も出張できない場合は、極力後に使用が見込まれる備品などを購入したい。
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