2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K03251
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
加藤 希理子 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00347478)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 安定圏 / 捩れ対 / 三角圏 |
Outline of Annual Research Achievements |
捩れ対があると、全体では捉えにくい圏の様子を、部分圏から手がかりを得ることができる。具体的には、2つの部分圏を「完全列」を用いて貼り合わせた圏が全体になるとき、これら部分圏の対を捩れ対と呼ぶ。捩れ対は、三角圏やアーベル圏など、「完全列」の構造の入った加法圏を調べるための基本的なツールとなっており、捩れ対の存在を調べたり、分類を行ったりする理論は、20世紀半ばから研究が続けられている。本研究では、捩れ対の発展系として、2つ以上の部分圏の組からなる捩れ構造を研究対象として、これらのもたらす対称性に注目している。2021年度は、三角圏やアーベル圏の前段階というべき、安定圏についての研究を行った。安定圏は、ある種の射を零とするイデアル商によって得られる圏で、三角圏に近い構造(右三角圏構造と左三角圏構造)を持つが、三角圏とは限らない。代表的なものは、ネーター環上の安定加群圏である。研究代表者は、環の安定加群圏を三角圏の部分圏として埋め込む方法を示した(2002年)。この部分圏は、前述の通り、一般には三角圏にならないが、これを含む最小の三角圏(三角閉包)を考えることができる。三角圏構造は、完全三角と懸垂の2つによって決まるので、この2つの操作を繰り返して得られるものが三角閉包になる。一方、懸垂のみによって得られる懸垂閉包は、導来圏の捩れ対の理論においては重要な研究対象である。2021年には、安定加群圏の懸垂閉包を調べた。その結果、擬ゴレンシュタイン環においては、懸垂閉包が三角閉包になっていることを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
三角圏の部分圏としての安定加群圏については、付随する捩れ対へのアプローチがいくつか考えられる。現段階では第1ステップとして懸垂閉包を計算したのみで、本研究が目標とする多角化捩れ対についての結果が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、ホモトピー圏の多角形ルコルマンについての研究を継続する。また、安定加群圏は、当初の計画では、本研究の対象外であったが、付随する捩れ対を調べること、捩れ対の状態によって、環または加法圏の特徴づけを行うことも行いたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当初予定していた活動のほとんどをオンラインで行ったため。
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