2018 Fiscal Year Research-status Report
複素素点における局所Whittaker関数の明示公式とその応用
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18K03252
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
宮崎 直 北里大学, 一般教育部, 准教授 (70632412)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 保型L関数 / Whittaker関数 / Rankin-Selberg法 / 局所ゼータ積分 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,一般線形群GL(n)上のアルキメデスWhittaker関数とその保型形式論への応用について研究を行い,次のような研究成果を得た。 (1) GL(3)上のアルキメデスWhittaker関数の明示公式とそのGL(3)×GL(2)のアルキメデスゼータ積分の計算への応用について,平野幹氏(愛媛大学),石井卓氏(成蹊大学)と共同研究し,得られた研究成果を論文``Archimedean zeta integrals for GL(3)×GL(2)''にまとめた。この論文では,GL(3)上のアルキメデスWhittaker関数の明示公式を一般のgenericな既約許容表現に対して統一的な形で与え,それを用いてGL(3)×GL(2)のアルキメデスゼータ積分が局所L因子と一致するようなWhittaker関数の組を具体的に与えた。 (2) 石井卓氏とEric Stade氏の論文``Archimedean zeta integrals on GL_n×GL_m and SO_{2n+1}× GL_m''(2013)における球主系列表現に対するGL(n)×GL(n)およびGL(n)×GL(n-1)のアルキメデスゼータ積分の明示的評価の証明を簡略化することができた。この簡略化を与えた手法は,上記の石井卓氏とEric Stade氏の論文とHerve Jacquet氏の論文``Archimedean Rankin-Selberg integrals''(2009)を比較検討することによって得られた。同様の手法を球主系列表現以外の表現に対してどの程度適用できるかについて,石井卓氏との共同研究を現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Whittaker関数とその積分変換であるアルキメデスゼータ積分の明示的な計算について一定の研究成果と新たな知見が得られたことにより,研究は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな知見を獲得しつつ,本研究計画の基本方針にしたがって研究を遂行していく。また,国内および国外で行われる各種研究集会に参加して情報収集および成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は,論文の執筆や既存の研究に対する考察を中心に研究を進めたため,成果発表や専門家との意見交換のための研究出張が予定よりも少なくなり,次年度使用額が生じた。 次年度には,今年度の考察によって得られた知見によってアルキメデスゼータ積分の明示的評価について一定の研究成果を得られる見通しであるため,今年度に計画していた研究出張を次年度以降に繰り越して実施する。
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