2018 Fiscal Year Research-status Report
有限群のモジュラー表現におけるブロックの導来同値について
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18K03255
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
功刀 直子 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 准教授 (50362306)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有限群 / ブロック / 導来同値 / 森田同値 |
Outline of Annual Research Achievements |
有限群のモジュラー表現論において,有限群のブロックの導来同値や森田同値での分類は重要な問題である。例えば,与えられた群の可換不足群をもつブロックとp-局所部分群のブロックの関係を述べたBroue予想や,与えられたp-部分群を不足群にもつブロックの森田同値類の個数の有限性を述べたDonovan 予想などがあげられる。この2つの予想と関連して,無限系列で現れるLie 型の有限群のブロックの森田同値性の問題がある。本研究では,シロー部分群が可換とは限らない場合に,p-局所構造を共有する2つの群について,主ブロック間の加群の圏や導来圏の同値を構成する手法を開発・整備し,とくに非可換メタ巡回群をシロー部分群にもつ群の主ブロック間の導来同値・森田同値分類に応用することを目的とし,今年度は以下の研究を行った。 1.前年度までにブラウアー樹木多元環における導来同値を与える両側傾複体の構成を行い,その研究成果が2018年12月に論文が掲載された。今年度は,この両側傾複体の構成の際に用いたPerverse同値の概念を,より広い範囲で適用するための考察を行った。 2.有限群のブロックがBrauer樹木多元環になるのは,不足群が巡回群のときである。巡回シロー部分群をもつ有限群の自己同型による拡大が非可換メタ巡回シロー部分群を持つ場合に,その主ブロックとブラウアー対応子との間の導来同値の構成に上記1の内容を役立たせることができるのではないかと期待し,とくにこの設定となる無限系列の群に対する考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Perverse同値について先行研究に関する論文を読み込むのに予定より時間がかかり,全体としてはやや遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
非可換メタ巡回群をシロー部分群にもつ群における加群の構造をより詳しく調べる。とくに,シロー部分群が正規部分群となる場合の加群の構造をより詳しくしらべる。また,上記設定で正規でないシロー部分群をもつ場合の無限系列の群の主ブロックについて考察を進める。とくにスコット加群のBrauer直既約性や局所部分群の主ブロックの構造の考察を進める。国内外の専門家を招いて関連する研究の進捗状況を把握するなど,研究交流の機会を多くもつ予定である。
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Causes of Carryover |
理由:研究が計画よりやや遅れ,研究成果の発表を見合わせたため。 使用計画:成果発表や研究打ち合わせを多くもつ予定であり,そのための旅費に使用する計画である。
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