2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K03256
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山川 大亮 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 講師 (20595847)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 線形常微分方程式 / モノドロミー保存変形 / 正準量子化 / 量子スペクトル曲線法 / マニン行列 / ラプラス変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) リーマン球面において無限遠点でポアンカレ階数2以下の不分岐不確定特異点をもち,他でたかだか確定特異点をもつ(1階連立)線形常微分方程式のモノドロミー保存変形について,変形を記述する非自励ハミルトン系の正準量子化を考察した.このクラスのモノドロミー保存変形は3種類の変形パラメータをもつ.1つは線形常微分方程式の係数行列を無限遠点においてローラン展開したときの先頭係数の固有値であり,もう1つは2番目の係数に関わるパラメータ,そして最後の1つは確定特異点の位置である.その内先頭係数の固有値以外の変形パラメータに関するハミルトニアンの量子化を構成した.構成にはTalalaevの量子スペクトル曲線法と,マニン行列(非可換環に成分をもち,成分同士がある特別な条件を満たす行列)に対する行列式の理論,そしてこのクラスの線形常微分方程式がもつ特別な対称性(本質的にラプラス変換によって生成される)を用いる.この結果は本質的には2015年に得られており,アナウンスも行っていたが,今回改めて構成過程での証明を見直し,完成度を高めることができた.既に論文にまとめ,現在学術雑誌に投稿中である.なお同じ結果が2019年にRembadoにより得られているが,構成法は全く異なる.
(2) リーマン・ヒルベルト・バーコフ対応によって野性的指標多様体と関係する線形常微分方程式のモジュライ空間について,各特異点における方程式の局所的な情報の住処を与えるある代数群の余随伴軌道を考察した.そして方程式がその点である種の対角化可能性条件(不分岐性条件と密接な関係をもつ)を満たしていれば,その軌道が閉集合であることを証明することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に引き続き,2021年度も研究協力者であるPhilip Boalch氏との共同研究を中断している状況であったため,研究代表者単独で遂行可能な研究のみを行った.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に引き続き,野性的指標多様体に関連した様々な問題に研究代表者単独でアプローチしていく.
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行により,出張予定のキャンセルなど当初の予定を大幅に変更する必要があったため,次年度使用額が生じている.2021年度に引き続き今後も研究室のオンライン環境の整備を進め,また少しずつ再開されている研究集会への積極的な参加によって野性的指標多様体に関する情報収集や研究発表も行っていく.
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