2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K03259
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| Research Institution | Shimane University |
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Principal Investigator |
藤井 俊 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (20386618)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 円分体 / イデアル類群 / 持ち上げ写像 / マイナス商 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2019年度の研究では、主に前年度より開始した円分体のイデアル類群の研究を継続して行い、以下に述べる二つの定理を証明することができた。
正整数nに対して、C_n, C_n^+ をそれぞれn分体、n分体の最大実部分体のイデアル類群とし、C_n^-=C_n/C_n^+をC_nのマイナス商とする。
定理１．n,mを正整数とし, mはnで割り切れるとする. このとき、イデアルの持ち上げ写像C_n^- → C_m^-の核は、C_n^-の4-torsion部分群C_n^-[4]に含まれる。
定理２．C_∞^-をC_n^-のイデアルの持ち上げ写像に関する帰納的極限とすると, C_∞^-はQ/Zの可算個直和と同型である。
定理2．は、Brumer氏、栗原氏らの結果を用いることよって証明することができるため、既に知られていたものであるが、定理１を用いることによってその別証明を与えることができた。また、定理１．について、基礎体の正整数nおよび拡大体のmに関係なく、持ち上げ写像の核の指数を4でおさえることができたことは、研究開始時には想像できなかったことであり、当該研究者にとって意外な発見であった。また、持ち上げ写像の核の指数の評価を与える結果は岩澤の結果を除いてほとんど知られていないため、今後のイデアル類群の研究に対して、新たな指針を与える成果であるといえる。虚アーベル体の有限次拡大K/Fに対しても、同じくイデアル類群のマイナス商の持ち上げ写像の核Ker(C_F^- → C_K^-)を考えられるが、その指数は随意に大きくできることも確かめられるので、円分体の場合の核の指数の評価は、円分体の間の持ち上げ写像の特性の一つといえる。また、さらに一般化できる可能性を秘めていると考えられるため、2020年度以降も研究を継続する予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度より始めて、継続して行ってきた円分体のイデアル類群の研究については、マイナス商の持ち上げ写像の核について、円分拡大特有と考えられる興味深い現象を示すことができた。しかし、不分岐ガロワ群の岩澤理論的、非可換群論的研究については、得られた成果のごく一部を論文として投稿したが、まとまった成果を得ているは言い難い状況である。また、2020年2月以降に開催される予定であった整数論関連のセミナー、研究集会等はすべて中止となったため、多くの最新の研究の情報を得る機会が失われてしまった。
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| Strategy for Future Research Activity |
研究を効率的に進めるため、岩澤理論研究者たちと研究打ち合わせを行う機会を多く持つ予定であるが、周知のとおり新型コロナウィルスの影響で、研究者同士が直接会える機会はほぼないと考えてよい。そのため、旅費等に充てていた個所を、ネットワーク会議のための環境整備に充てる費用とする予定である。本研究課題に関連する重要な研究者に対して、通信環境整備を行うための経費を計上し、多くの交流の機会を設け、研究を進める予定である。また、最新の研究の情報収集を効率的に行う必要もあり、これまで以上に文献の収集を行う予定である。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた最も大きな理由は、2020年2月以降、予定していた出張がすべてキャンセルとなってしまったことである。学会、研究集会、セミナーの開催は、世界中でオンラインにシフトしつつあり、この傾向は今後日本でも適用されることが予想される。また、研究打合せを行うにも、遠隔双方向通信が重要となってくることが考えられる。よって、2020年度の研究では、遠隔双方向通信の設備を整えるための費用を計上する。また、これは、研究協力者に対しても必要なことである。研究推進に必要な情報収集のため、今後はより文献等の収集も必要となるため、そのための経費も計上する。
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Research Products
(4 results)
