2022 Fiscal Year Research-status Report
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18K03262
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
佐藤 拓 福岡大学, 理学部, 教授 (20433310)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | トーリック多様体 / 変形理論 / ファノ多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)前年度までに、4次元の滑らかなトーリック弱ファノ多様体がファノ多様体に変形する現象についての結果を得ているが、今年度は、その高次元化の第一歩として、5次元の場合について同様の考察を行った。4次元の場合は、2次元の滑らかなトーリック弱デル・ペッツォ曲面の分類を必要としていたため、同様の手法によって5次元の理論を展開しようとすると、3次元の滑らかなトーリック弱ファノ多様体の分類表を参照する必要があり、計算量が飛躍的に増大し大変困難なものとなる。よって、多様体の分類に依存しない方法を模索しており、現在も考察中である。 (2)変形理論に関連して、トーリック森理論方面の研究も欠かせないが、今年度は射影空間のトーラス不変点でのブロー・アップに対して、その反標準因子に関する極小モデルプログラムを考察した。すなわち、弱ファノ多様体を構成するということであるが、次元とブロー・アップする点の数によって、極小モデルがいつファノ多様体になるのかを完全に決定した。ファノ多様体になる場合でも、更に、束構造を持つ場合と森コーンの端射線が全て小さくなる場合とに分かれ、非常に興味深い現象を得た。引き続き、この構成で得たファノ多様体を様々な問題に応用することを考察していく。 (3)滑らかなトーリック・ファノ多様体の第二チャーン指標が正であるとき、その多様体の構造を決定できるか、という問題も引き続き考えている。海外の研究によって、多少進歩があったようであるが、そこでの方向性は本研究とも近いものであった。今後も同様の方針で研究を進めて行く予定である。また、末端特異点を持つ場合に3次元で同様の問題を考え、同様の性質を持つトーリック・ファノ多様体はピカール数が1であることを示した。滑らかな場合の研究の拡張であるが、元々の予想を後押しする結果であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍での出張等の制限がある程度緩和され、研究集会等も増えてきているが、それでも本研究への影響は大きく、遅れを取り戻すには至っていない。対面での研究打合せ等の重要性を痛感している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究打ち合わせ等を積極的に行い、専門家との議論を活発に行う予定である。特に、複素幾何学や数値計算の専門家との交流を多く行い、ブレイクスルーとなるようなアイデアを得たいと思っている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、思うように出張等が出来ないことが多かった。制限も緩くなりつつあるので、次年度は頻繁に研究打ち合わせ等に赴きたい。
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Research Products
(1 results)