2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03263
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
坂内 真三 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (20732556)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 平面曲線の埋め込み位相 / 平面曲線配置 / Zariski tuple / 分解曲線 / 楕円曲線 / 楕円曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は次の論文1本が専門論文雑誌に受理され出版された. "Trisections on certain rational elliptic surfaces and families of Zariski pairs degenerating to the same conic-line arrangement", Geometriae Dedicata 216 (2022),(川名のん氏, 舛谷亮介氏, 徳永浩雄氏との共著). この論文は, 曲線のdegenerationの観点からZariski対を研究しているものであるが, これを逆に見て, smoothingの観点からのZariski対の研究に着手し, 徳永氏と白根氏と共著での論文執筆に取り掛かった. この論文の執筆を通して, Mumford表現やそれに類する超楕円曲面の因子を扱うための知識・手法を身につけることができた. 研究交流においては, コロナの影響で依然として回数は減っているものの, 国内の共同研究者との対面の打ち合わせを継続して行った. 新たには, 九州大学のB. Guerville-Balle氏を岡山理科大学に招き研究打ち合わせを行なった結果, 非連結なmoduli空間を持つ曲線の例が見つかり, この例の埋め込み位相に関する共同研究を開始している. さらに, イスラエルのAmrav氏との交流も開始し, 直線と2次曲線のみを既約成分として持つ場合のZariski対について意見交換を行ない共同研究が行えないかの検討を始めている. 特に直線と2次曲線のみを既約成分に持つ場合に, 双対曲線を考えることで新たな例を見出せるのではないかとの知見を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の研究は概ね順調に進展していると以下の理由から判断した. 研究実績で述べたとおり, 論文1本が受理され, さらに論文1本の執筆に着手をすることができた. 講演の機会はなかったが, 新型コロナウィルスが依然として流行していることにより, これまで参加・発表していた研究集会が開催されていないことが大きな要因であり, 研究内容の進展が滞っているわけではないと判断した. また, B. Guerville-Balle氏やAmrav氏などとの研究交流を通して, これまでとは別の視点・手法を取り入れることで新たな題材・問題が発見されたこともあり, このことからも研究は進展していると判断した. 昨年度の推進方策に掲げた第1目標のうち, プレプリントの論文雑誌への出版は達成され, 残りの三つの目標のうち, 一つ目は一部達成でき, 徳永氏, 白根氏との共著論文に繋がっている. 二つ目については, 広島大学の島田氏により解決がなされた. また, 新たな研究ネットワークも形成されつつある. これらのことから, 総合的に見て研究は概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方策は以下の通りである: まず最優先の事柄として, 徳永氏と白根氏と共に執筆に取り掛かっている論文を完成させ, プレプリントとして発表することを目指す. また, B. Guerville-Balle氏や新たに交流を始めたAmrav氏との研究交流を深化させることを目指す. 昨年度の目標にも掲げた研究ネットワークの構築の一環として, B. Guerville-Balle氏を含む国内の研究者との交流を深めるために, 岡山理科大学にて小規模の研究集会を開催することを目指す. Amrav氏を含む国外の研究者とはZoomなどを利用した研究打ち合わせを行い, コロナやウクライナでの戦争の状況が許すようであれば, 直接訪問をして対面での研究打ち合わせを行うことを目指す. 新たな研究交流を通して, 非連結なmoduli空間を持ちながら, 従来の手法ではZariski対になっているかが判定できない例がいくつか見つかっている. また, 直線と2次曲線のみを既約成分にもつ配置については, 双対曲線を考えることで新たな例が発見できる見通しが立っているので, この方向での例の発見を目指す. さらに, これらの例をより詳細に調べることで, これまでの手法を一般化するための方向性を検討し, より幅広い対象の曲線を扱えるようにすることを目指す.
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Causes of Carryover |
依然として新型コロナウィルスの影響により対面での研究交流が停滞していたことにより計画通りの支出を行うことはできなかった. 状況が改善し次第, 対面での研究交流の活性化を推進するため, 次年度に繰り越すこととする.
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Research Products
(1 results)