2019 Fiscal Year Research-status Report
The Chow norm and the existence problem of extremal metrics
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18K03277
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
満渕 俊樹 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (80116102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 竜司 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30252571)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Chow norm / 端的ケーラー計量 / テスト配位 / 計量の存在問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
Donaldson-Tian-Yau 予想の端的ケーラー版において,端的ケーラー計量が存在するための条件として,偏極射影代数多様体のいかなる安定性が最もふさわしい概念として設定されるかという問題がある.その安定性の主な候補としては,相対強K-安定性,相対一様K-安定性,相対K-安定性の3つが有力であることが知られているが,我々の最近の成果として次のような諸事実が分かってきた.
(1)テスト配位族Donaldson-Futaki不変量の定義式のdouble limitが可換であることが最近証明され,その結果として相対強K-安定性と相対一様K-安定性が同値であることが明らかになりつつある.それらの証明の詳細についての確認作業を現在行っているところである. (2)上に得られたdouble limitの可換性の自然な一般化として,テスト配位族Donaldson-Futaki不変量を,各テスト配位のDonaldson-Futaki不変量の何らかの極限として書き表すことが可能となった.これとテスト配位のモジュライ空間のプレコンパクト性を併せることにより様々な応用が得られることが分かってきた.たとえば相対一様K-安定性と相対K-安定性の相違がかなりの程度明確化されることが分かってきた. (3)一方,偏極射影代数多様体において、その偏極類に属する端的ケーラー計量が存在するならば、その偏極射影代数多様体は相対強K-安定であろうという予想について、その大枠を肯定的に証明することには成功したが,未整理点がさらにいくつか残っており,引き続き詰めの作業を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Donaldson-Tian-Yau予想の端的ケーラー版において,テスト配位族Donaldson-Futaki不変量の定義式のdouble limitの可換性を証明することは,我々の研究において最も困難な課題のひとつであった.これが示されることによって,結果的に上の実績の(1)や(2)が得られるになったことは,大きな進歩と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
研究チームを中心として,Donaldson-Tian-Yau予想の端的ケーラー版やテスト配位退化族に関する勉強会やシンポジウムを繰り返し開き、知見を深めるとともに問題を煮詰め、 研究目的達成への道筋を確立する計画である。一方で我々の研究を基礎から支える備品や消耗品として、関連の書籍のみならず、計算機ソフトや 計算機関連の 備品も購入する予定である。また、金沢での複素幾何国際シンポジウム等を組織することによって、情報収集のみならず研究成果の発表も行い国際的なレビューを受けたい.
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Causes of Carryover |
令和元年度には,年度末にもう一度北京清華大学に出張する予定であったが,新型コロナ肺炎の騒ぎでそれも不可能となってしまった.(また次年度以降に,我々の成果をSpringer Tokyo社から出版する予定で,そのための予備的経費を引き続き計上する必要がある.) (使用計画)次年度使用額の部分の使用計画としては(ルーチンの勉強会や研究集会開催のための経費以外では)平成2年度に北京の清華大学で行う幾度かの研究打ち合わせの費用、およびSpringer Tokyo社から出版する我々の研究成果の出版予備費用等に充てる予定である。
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