2018 Fiscal Year Research-status Report
共形写像に関連する変分問題と計量のpullbackに関する変分問題の研究
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18K03280
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中内 伸光 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (50180237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 博夫 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (10127772)
近藤 慶 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (70736123)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | symphonic map / C-staionary map |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は, symphonic map に関して, 定義域の計量を変形したときの symphonic energy functional の gradient に対応する幾何学量 stress energy tensor を定義し, 性質を調べた. Trace と divergence を計算し, 「一般に symphonic map の stress energy tensor は divergence free であること」および「4次元のときは, stress energy tensor は trace free になること」が導かれた. また, 「symphonic map の stress energy tensor がゼロになるための必要十分条件は, その写像の定義域の多様体の次元が4次元であり, かつ, 共形写像であること」がわかり, 証明を与えた. もともとの定義は天下り的にテンソルの形で与えたが, 定義域の計量の変形に関する第1変分を計算し, 公式を導いた. これらの議論のもとに, C-stationary map に関する stress energy tensor の考察も行った. 定義をどう定めるかということが, まず問題となるが, 付帯的状況をもとに定義を与え, その性質を調べた. stress energy tensor は, symphonic map の場合と同様に, 「一般に C-stationary map の stress energy tensor は divergence free であること」および「4次元のときは, stress energy tensor は trace free になること」とが導かれた. また, 「C-stationary map の stress energy tensor がゼロになるための必要十分条件は, その写像が共形写像であること」の証明を与えた. C-stationary map についても, 定義域の計量の変形に関する第1変分を計算し, 公式を導いた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
symphonic maps の定義方程式の主要項の形がこれまで研究されてこなかった新しいタイプの作用素であるが, いくつかの小さなアイデアを組み合わせることにより, 研究を進め, 研究計画は当初の予定通り進展している. 一方, C-stationary maps については, 主要項が新しいタイプの作用素であるのみならず, 混合型の作用素であり, しかも退化しているため, この研究にはブレイクスルーとなるアイデアが必要になると思われる. stress energy tensor については, C-stationary map についても研究を進めることができたが, 並行して研究を進めている「弱解の partial regularity」は, symphonic map については Holder 連続性の結果が得られ, すでに発表済みであるのに対し, C-stationary map に関しては, まったく手つかずの状態である. 現在のところ, 具体例を試金石として計算を行い, 関係式や性質の予想を行うアプローチと, これまでの幾何解析の手法を総合的に用いて, 解決の糸口が見つからないか試行錯誤を行っているプロセスの両面から研究を進めているところである.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は, おおむね研究計画通りに進めていく予定である. C-stationary maps に関しては, アイデアを求めて, 時間があれば, 多様体上の変分問題の研究者や, 幾何解析の研究者と, さらなる情報交換を行いたいと思っている.
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Causes of Carryover |
年度末に開催した講演会「多様体上の変分問題とその周辺領域」の講演者たちの旅費が当該年度に計上されていないので, 「次年度使用額」が発生した. 2019年度に, この旅費を計上する以外は, 当初の使用計画に大きな変化はない.
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