2019 Fiscal Year Research-status Report
Geometry of the braid groups and mapping class groups and their growth
Project/Area Number |
18K03283
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
藤井 道彦 琉球大学, 理学部, 教授 (60254231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河澄 響矢 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (30214646)
逆井 卓也 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (60451902)
佐藤 隆夫 東京理科大学, 理学部第二部数学科, 准教授 (70533256)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ブレイド群 / 離散群 / ケーリーグラフ / 測地的代表元 / 増大級数 / ガーサイド標準形 / スータブル・スプレッド法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的の一つに、4本以上の糸からなるブレイド群 Γ に対して、ケーリーグラフ内の測地線を見つけるアルゴリズム P を構築することによって、Γ の増大級数の具体的な有理関数表示を求め、さらに増大度も求めることを掲げている。平成30年度には、研究代表者・藤井と分担者・佐藤隆夫によって、Γ の増大級数を求める際に生じる問題点の検討・分析をした結果、ブレイド群 Γの標準的な代表元(ガーザイド標準形という)からスータブル・スプレッド法を用いて得られる元が測地的にならない不規則な現象を探究する必要性に気づいた。そこで、平成31年度も平成30年度に引き続き、ガーサイド標準形上に基本的元 Δ の逆元の現れる個数に着目して詳細にその現象を考察した。その結果、ガーサイド標準形上に基本的元 Δ の逆元が2個以上現れる場合には、1個しか現れない場合には生じないような複雑な現象が起こることを発見した。つまり、この場合には、ガーサイド標準形のスクエア・フリー元への分割の状況に応じて決まる複雑なパターンが存在することが分かった。基本的元 Δ の逆元が1個だけしか現れない場合にはもっと単純な現象しか生じないことが平成30年度の研究で分かっているので、平成31年度で得られた結果は、3本の場合には生じないが4本以上の糸からなるブレイド群の増大級数の具体形を求める際に生じる複雑な状況を明らかにしていると言える。その点で平成31年度の研究は幾何学的群論の立場からも意義のあるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、次の2つを目的としている。(A)ブレイド群 Γ について、ケーリー・グラフ内の測地線を見つけるアルゴリズム P を構築することによって、Γ の増大級数の形を明らかにし、増大度を求めること、(B)写像類群について、写像類群と擬等長となる離散群を具体的に構成することによって、写像類群の増大度を求めること。平成31年度の研究で、(A)についての研究はある程度進んでおり、最終年度に向けて、研究目的に叶う形で研究の方向性のめどが立った。しかし、(A)での研究に予定以上に時間がかかっているので、(B)については進展といえる成果がほとんど得られていない。そこで、「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後まずは、平成31年度に発見された、不規則な現象に関して、考察を進めていく。さらに、(不規則な場合でない)標準的な場合について、ガーサイド標準形の正モノイドの部分の効率的な分割を見つけるアルゴリズムを分担者・佐藤隆夫とともに開発していく。また、直角アルティン群を用いて、写像類群に擬等長となる離散群の構成にも着手していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、今年度当初に出席を予定した研究集会が中止となり、当該研究集会に出席することができなかった。そこで、年度初めに予定していた旅費の未使用額が生じたため、次年度の使用額が生じた。次年度は、国際研究集会を研究代表者として開催する予定であり、そこに本研究の推進に寄与するであろう研究者を国内外から招聘することにしている。その招聘のために使用する予定である。
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