2021 Fiscal Year Research-status Report
Geometry of the braid groups and mapping class groups and their growth
Project/Area Number |
18K03283
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
藤井 道彦 琉球大学, 理学部, 教授 (60254231)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河澄 響矢 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (30214646)
逆井 卓也 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (60451902)
佐藤 隆夫 東京理科大学, 理学部第二部数学科, 教授 (70533256)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 離散群 / 増大級数 / ブレイド群 / ザイフェルト・ファイバー空間 / ケーリーグラフ / ガ―サイド標準形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的の一つに、離散群 Γ に対して、ケーリーグラフ内の測地線を見つけるアルゴリズム P を構築することによって、Γの増大級数の具体的な有理関数表示を求め、さらに増大度も求めることを掲げている。 令和3年度において、研究代表者・藤井と分担者・佐藤隆夫は、Γ が4本の糸から成るブレイド群の場合に、 Γの元 g の標準的な代表元(g のガーサイド標準形という)からスータブル・スプレッド法を用いて得られる元が測地的にならない不規則な現象の探究を継続した。令和2年度までの研究で、ガーサイド標準形上に基本的元 Δの逆元が1個だけしか現れない場合には単純な現象しか生じないことが判明していた。そこで、令和3年度は、ガーサイド標準形上に基本的元 Δ の逆元が2個以上現れる場合に限定して、詳細にその不規則な現象の考察を行った。特に、令和3年度の研究で、ガーサイド標準形上の正モノイドの部分のスクエア・フリー元への分割の状況に応じて生じる不規則な現象のパターンを分類することに成功した。今後はこの分類の精密化を進めて、ブレイド群のケーリーグラフ内の測地線を見つけるアルゴリズム P の構築が出来るよう計画している。 また、令和3年度には、3本の特異点を持つザイフェルト・ファイバー空間の基本群Λの増大級数の計算が可能であることを示した。現在、この計算を具体的に実施できるようにコンピューター・プログラムを分担者・逆井と共に作成しているところである。このコンピューター・プログラム作成において、群Λのケーリー・グラフ内での測地線を見つけるアルゴリズム P の構築が重要な役割を果たす。幾何学的群論の視点で見て群Λとブレイド群では構造が共通する部分が多い。そこで、Λに関するこの研究成果はブレイド群の幾何学的構造を増大級数の観点から解明することに役立つと期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、次の2つを目的としている。(A)ブレイド群 Γ について、ケーリー・グラフ内の測地線を見つけるアルゴリズム P を構築することによって、Γ の増大級数の形を明らかにし、増大度を求めること、(B)写像類群について、写像類群と擬等長となる離散群を具体的に構成することによって、写像類群の増大度を求めること。 令和3年度の研究で、(A)については進捗が見られた。研究目的に叶う形で研究が進んでいるといえる。特に、分担者・逆井との共同研究で、3本の特異点を持つザイフェルト・ファイバー空間の基本群Λの増大級数に関する研究成果が得られた。群Λはブレイド群Γと同じくガーサイド群であり、幾何学的群論の視点で見て同様の構造を持っているので、Λの増大級数の計算に関する成果は(A)の研究推進に大変役立つと期待できる。(B)については、純ブレイド群という写像類群に限定すれば、目的の群の構成に近づける可能性が見えてきているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、ブレイド群のケーリーグラフ内の測地線を見つけるアルゴリズムの構築を実現するために、「研究実績の概要」で述べた不規則な現象の更なる詳細な分析を進めていく。さらに、ガーサイド標準形の正モノイドの部分の効率的な分割を見つけるアルゴリズムを分担者・佐藤隆夫とともに開発していく。また、分担者・逆井とともに、令和3年度に行った、3本の特異点を持つザイフェルト・ファイバー空間の基本群の増大級数の計算を計算機上で実行できるよう、コンピューター・プログラムの作成を進めていく。さらに、このコンピューター・プログラムの基となるアルゴリズムがブレイド群の場合にもどの程度有効であるかを検討していきたい。また、分担者の逆井及び河澄と共同で、写像類群と擬等長となる離散群の構成方法の探究も進めていく。
|
Causes of Carryover |
令和3年度も新型コロナウイルスの影響で、出席を予定していた対面での研究集会がオンラインで開催されることになったり、また、共同研究者との対面でのセミナーが実施できなかった。そこで、旅費を使用することがなかった。令和4年度は、本研究がさらに推進できるように対面での研究集会への参加や研究分担者との対面でのセミナーの実施を計画している。
|
Research Products
(1 results)