2022 Fiscal Year Research-status Report
Moduli spaces of flat connections and uniformization of 4-orbifolds
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18K03289
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
福本 善洋 立命館大学, 理工学部, 教授 (90341073)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 軌道体 / ホモロジー同境 / Donaldson理論 / 平坦接続 / Seiberg-Witten理論 / 指数定理 / スプライシング / 有理ホモロジー球面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,4次元軌道体の一意化に向けたゲージ理論の応用として, 課題(i)「3次元多様体と結び目の組のbounding genusの定式化と結び目理論への応用」において,昨年度はSeiberg-Witten理論を応用することにより,L.Siebenmannの同境を詳細に調べることでw不変量のスプライシング操作に関する上界および下界評価を得ている. 今年度は,有理ホモロジー3球面の間のスプライシング操作における構築要素ともいえるSeifert有理ホモロジー3球面に対してbounding genusの特異ファイバー型に関するそれらの挙動に関する以下の結果を得た. 1) Seifert有理ホモロジー3球面の特異ファイバーの型を改変することによって誘導される4次元軌道体の同境の交叉形式およびDirac作用素の指数への特異点からの寄与に関する公式を与えた.これによりSeifert有理ホモロジー3球面のbounding genusの特異ファイバー型の改変に関する挙動の評価が可能となった. また,負定値4次元軌道体の特異点がレンズ空間の錐の形をしたある場合においては,それらのレンズ空間の錐の間にある種の対が生成されることがわかっており,これを応用することで3次元ホモロジー球面のホモロジー同境群に関する以下の結果を得た. 2) 一般の本数の特異ファイバーをもつSeifertホモロジー3球面からなる無限族で,ホモロジー同境群において一次独立なものを与えた.この証明はFintushel-Stern不変量から得られるが,レンズ空間の対生成の観点からホモロジー同境群の新たな無限一次独立系を見出すことができるものと期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度においても,COVID-19の世界的流行の影響により,海外渡航が引き続き困難であったため,米国インディアナ大学に滞在し,Paul Kirk氏との共同研究,および研究発表を行うことが困難であった.それにともなう教育・研究環境の整備および運用のマネジメントが行き届かなかったことで,遠隔地間での研究打ち合わせや研究発表をはじめとした研究者間の交流が十分に行えなかった現状がある.また課題(i)において派生した新たな課題の進捗に注力する方針を図ったため,昨年度に引き続き,(ii)の課題に十分な時間を掛けることができていなかったことも影響していた.
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Strategy for Future Research Activity |
課題(ii)「Kronheimer-Mrowkaによる特異インスタントンのモジュライ空間の解析」では曲面を特異点とする4次元軌道体上のインスタントンとして特異インスタントンのモジュライ空間を考察し,モジュライ空間の標準的な向き付けに関する詳細な議論を行っている.より簡単な状況として,昨年度に引き続き,以下の課題に取り組む. (ii-1)4次元軌道体の特異点が孤立点である場合において,特異点でバブルが発生した後に平坦接続が現れる状況とインスタントンのモジュライ空間の向きとの関係を明らかにする. 当面はこの課題に注力し解決を図ることで課題(iii)4次元軌道体の一意化に関する結果を拡張することが可能となる. また,(i-2)のDonaldson理論とSeiberg-Witten理論の等価性に関する大規模かつ組織的な検証,鉛管型とは限らない有理ホモロジー球面への一般化に対する実装を行い,P. Kirk氏とJ. Pinzon Caicedo氏との共同研究における「枕袋」の解析の計算機実装とを組み合わせることで課題(ii)「Kronheimer-Mrowkaによる特異インスタントンのモジュライ空間の解析」へと繋げる.
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Causes of Carryover |
2022年度においても,COVID-19の世界的流行の影響により,海外渡航が引き続き困難であったため,米国インディアナ大学に滞在し,Paul Kirk氏との共同研究,および研究発表を行うことが困難であったこと,およびそれにともなう教育・研究環境の整備および運用のマネジメントが行き届かなかったことによる.2023年度はこの渡米滞在を可能な限り実施するとともに,近年において研究手段として定着してきた遠隔地間での研究打ち合わせや研究発表をはじめとする通信および,クラウド数式処理システムをはじめとする電子的な研究環境の高度化に使用する計画である.
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