2021 Fiscal Year Research-status Report
一般のリーマン多様体のラプラシアンの自己共役性ならびにリュービル性
Project/Area Number |
18K03290
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
正宗 淳 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50706538)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ラプラシアン / 局所的性質 |
Outline of Annual Research Achievements |
多様体のラプラシアンの本質的自己共役性が局所的性質をもつことを明らかにした.本研究課題の前々年度の研究成果により,ある状況下では本質的自己共役性は特異集合の容量で特徴付されることが分かった.その容量を決定する1-調和関数は空間全体の情報を持っており局所性を持たないため,多様体のラプラシアンの本質的自己共役性が局所的性質をもつことは不明であった.そこで部分積分の境界項が消えるという本質的自己共役性の特徴付を用いて,多様体のラプラシアンの本質的自己共役性が局所的性質であることを証明した.この結果を具体的に述べると「リーマン多様体がそれらの共通部分がその境界になるように二つの境界付き多様体に分解され,また,その境界がコンパクトであるならば,全体の多様体のラプラシアンが本質的自己共役であることと,それら部分多様体のノイマン境界条件をもつラプラシアンが共に本質的自己共役であることは同値である」である.この研究とは別に,リーマン多様体にレイリッヒの埋め込み定理が成立するような多様体を付け加えても,もしくはリーマン多様体からレイリッヒの埋め込み定理が成立する部分多様体を取り除いてもラプラシアンの本質的スペクトルが変わらないことを証明した.これは本質的スペクトルに関する新たな不変量の発見である.コンパクト作用素の摂動について本質的スペクトルは不変量になっていることはよく知られているが,今回の研究成果により空間自体が変形しても同様なことが成立することが分かった.これと先に述べた本質的自己共役性を組み合わせることで,本質的自己共役性をL^2リュービル性を用いて証明するレシピが完成した.この研究成果については既にいくつかのセミナーで報告をした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回明らかになった性質は研究計画を立てた段階では想定していなかった新しい発見である.
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き.本質的自己共役性のさらなる研究及びL2リュービル性の幾何学的解釈の研究を深める.
|
Causes of Carryover |
コロナのため予定していた海外出張等が中止になり,次年度使用額が生じた.
|