2018 Fiscal Year Research-status Report
geometric analysis of geometric flows
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18K03291
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石田 政司 大阪大学, 理学研究科, 教授 (50349023)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リッチフロー / ヤングミルズフロー / ハルナック不等式 / 単調性公式 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、幾何学的流の1つの例であるリッチヤングミルズフローに関する研究を集中的に行った。特に、ここ数年の間、懸案事項の1つであった、底空間の次元に関する制限を外すために有効と考えれえるアイデアを得ることができたことが、特筆すべき点として挙げられる。具体的には次のように要約される。 (1)リッチヤングミルズフローの低エネルギー解に対する微分ハルナック不等式は、底空間の次元が2次元の場合に証明されていたが、2次元とは限らない一般次元の場合にも証明するための有効なアイデアを得た。 (2)リッチフローに対する重要な概念として、簡約体積と呼ばれる幾何学的量が存在する。この幾何学的量のリッチヤングミルズフローに対する類似物は、底空間の次元が2次元の場合に導入され、その単調性が証明されていたが、2次元とは限らない一般次元の場合にも簡約体積の定義を導入し、その単調性を証明するための有効なアイデアを得た。 (3)ペレルマンはリッチフローに沿って単調性を持つ、F,W,W+と呼ばれる重要な3つの汎関数を導入している。W+のリッチヤングミルズフロー版を導入し、その単調性を証明することができた。その応用として、リッチヤングミルズブリーザー解に対する非存在定理を証明した。ちなみに、Fのリッチヤングミルズフロー版は単調性を持つことが判明しているが、Wのリッチヤングミルズフロー版は一般には単調性を持たないことが判明している。 (4)上記の成果に関連して、リッチヤングミルズフローを特殊な場合として含む、繰り込み群流と呼ばれるさらに複雑な幾何学的流に対する、微分ハルナック不等式、簡約体積の単調性、ペレルマン汎関数F,W,W+の類似物の単調性、などを証明する有効なアイデアを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次元という底空間の次元に関する制限を外すために有効と考えられるアイデアを得ることができ、一般次元の場合への足掛かりが得られた。さらにこれらの成果をもとに、繰り込み群流の幾何解析的研究に向けた有効と考えられるアイデアを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた研究成果を論文としてまとめ、学術雑誌に投稿する。さらに、関連する研究集会に参加することで、当該分野の専門家と、議論や情報交換を積極的に行う。また、繰り込み群流の幾何解析的研究にも本格的に力を入れる。
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Causes of Carryover |
10月から大学を異動したことや仕事の関係で、幾つかの研究集会への出張を見送らざるを得ない状況になり、旅費として計上していた経費を支出することができなかったことが大きい。翌年度は、これらの経費を研究集会参加のための旅費として使用したい。
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