2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03292
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石井 敦 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (00531451)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 結び目理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度に実施した研究の成果は、前年度に得られた、カンドルの線形拡大に付随するアレキサンダーペアを用いたFox微分に対して、列関係式の理論を構築したことです。アレキサンダーペアを用いたFox微分をカンドル表示に適用することで、カンドルねじれアレキサンダー行列が得られます。この行列の列ベクトルの間に成り立つ線形関係式を用いて、行列サイズを落とすことに成功しました。カンドルねじれアレキサンダー行列そのものから初等イデアルをとると、ある種の平均化の結果、不変量の精度が落ちます。一方で、行列サイズを落とした行列から初等イデアルをとることで、より本質的な量を取り出せるようになりました。このような研究成果を得るためには、科学研究費補助金を用いて出張を行い、研究会議で国内外の研究者と議論を交わすことが重要でした。特に、本研究に関連した研究会議として「ハンドル体結び目とその周辺12」が7月に開催されました。この研究会議では、Yuka Kotorii 氏による古典的結び目からハンドル体結び目までのミルナー不変量についての研究、Kodai Wada 氏によるミルナー不変量の図式的計算方法についての紹介、Takefumi Nosaka 氏によるカンドルコサイクル不変量の視点からのミルナー不変量についての研究、Jean-Baptiste Meilhan 氏によるミルナー型不変量を用いたコボルディズムについての研究、Tomo Murao 氏によるハンドル体結び目のf-ねじれアレキサンダー行列ついての研究、Ryo Nikkuni 氏によるハンドル体結び目の前順序についての研究がありました。またハンドル体結び目に関連した低次元トポロジーの重要な問題についても話し合われました。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように研究成果が出ている。本研究に関連する研究会議も滞りなく開催されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
多重共役カンドルの表示に関する基礎理論を完成させ、多重共役カンドルに対するFox微分を定義します。研究を効率よく進めるために関連する研究会議やセミナーなどに参加し情報収集を行います。また研究成果の発表を通して、研究成果に対するフィードバックを得ることで、研究成果をさらに洗練させます。このように適切に出張を行うことに加えて、研究会議「ハンドル体結び目とその周辺13」を開催します。研究会議の開催によって人的交流を促進し研究者同士の活発な議論を引き起こすことで、深みのある研究を加速させます。
|
Causes of Carryover |
理由:出張日程の延期のため 使用計画:更新された日程で出張し、旅費として使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)