2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03296
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
平澤 美可三 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00337908)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | knot / Seifert surface / alexander polynomial |
Outline of Annual Research Achievements |
結び目の不変量であるアレクサンダー多項式について,その零点の分布を調べている。 「交代結び目について,そのアレクサンダー多項式の零点の実部は -1 より大きい」という予想が J.Hoste によって2002に提唱され,様々な部分クラスについて結果が得られている。本研究では,K.Ishikawa と M.Suzuki との共同研究により,ホステ予想に対する反例を構成した。それらについて,具体的な結び目ダイアグラムも描いた。まず,カンドル理論により,あるクラスが見つかりそのクラスの中に反例があるかも知れないという枠組みができた。そのクラスの結び目に対して,よいザイフェルト曲面を構成し,そのアレクサンダー多項式を算出するアルゴリズムを作った。多項式の次数が上がり過ぎるのを避けるため,予め1のベキ乗根を零点にもつ多項式で割った形で得られる様に工夫した。交点数が1000までの約41万個を候補とし,計算機による数値計算で45個の例が反例候補になることが分かった。最小のものは交点数が778,アレクサンダー多項式の次数は764であった。それらについて,その零点の実部が-1に満たないものがあることを示すため,ラウス・フルビッツの安定性定理を使える形に変数変換し,整数成分の行列式の符号のチェックに帰着し,多項式方程式の近似数値解ではなく,厳密な証明を行ってホステ予想を否定的に解決した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでも扱って来た問題ではあるが,交代結び目のホステ予想に対して,初年度に証明が完成し投稿したところ,年度内に査読付き論文誌から出版できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
結び目の張る曲面と不変量について,研究計画に基づいて研究を推進する。またその中で,新たな問題を練り出し,その解決も試みる。引き続き,結び目のアレキサンダー多項式の零点については特に詳しく調べる。これまでに得られた結果をまとめた論文を完成して投稿する。昨年度に得られたホステ予想の反例についても,それらが反例になる理由を探り,具体的な無限列の構成を試みる。ファイバー絡み目の不変量であるルドルフ不変量について,それがザイフェルト曲面の村杉和に関して加法的があることが知られているが,加法性が成り立つ理由を3次元空間内で説明できる様に現象を明らかにする。特に,絡み目補空間に埋め込まれた別の絡み目の絡み数を用いて加法性を記述することを試みる。
|
Causes of Carryover |
3月にルドルフ教授との共同研究のためボストンに赴く予定であったが,先方の都合でキャンセルされ2019年度に行うことになった。
|
Research Products
(6 results)