2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03296
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
平澤 美可三 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00337908)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 結び目 / ザイフェルト曲面 / ファイバー曲面 / 多項式不変量 / 零点 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き,結び目の幾何学的な性質について研究している.今年度は樹状絡み目のアレクサンダー多項式について,その零点の分布に関する論文が出版できた.ここでは樹状絡み目のアレクサンダー多項式の新たな計算法を確立すると共に,零点が実数になるように変換した上で,二つの多項式の零点が実軸上に交互に並ぶという状況をうまく作り出し,ある種の樹状絡み目の零点は,“全て実数になる”.“全て単位円周上にある”,“全て実数であるかまたは単位円周上にある”といった制御された形で出現することを証明している. アレクサンダー多項式の零点を調べるために,まず多項式そのものを計算する必要があり,今回は一般的なスケイン漸化式ではなく,有理式を経由する方法を確立した.樹上絡み目のザイフェルト曲面から構成したザイフェルト行列を用いるが,最初は成分が多項式であるが,計算を進めるに従って,有理式が変形されていくように整え,有理式の分子と分母(をそれそれ補正したもの)の零点が実軸上に交互に並ぶ状況を見いだしている.これ自体は面白い性質であり,その応用が期待される. またファイバー絡み目の不変量であるルドルフ不変量について研究を継続している.これは高次元での議論を通じてルドルフやノイマンによって確立された議論であるが,その一部を3次元空間内だけで理解するための枠組みの手掛かりを得た.夏にはボストンに滞在し,その道の大家であるルドルフ教授と集中的な議論を行い,その枠組みでうまく行く実感を得た.これにより,絡み目の張るファイバー曲面の村杉和の元でのルドルフ数の加法性の直接証明が行えると期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年に引き続き,本年も論文を出版できた.ただし,2,3月にはコロナウィルス蔓延により,計画していた国内,国外出張が行えなかった.この状況が引き続くようだと,次年度以降の進捗状況に影響がでる可能性がある.
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Strategy for Future Research Activity |
結び目の張る曲面と不変量について,研究計画に基づいて研究を推進する.またその中で,新たな問題を練り出し,その解決も試みる.引き続き結び目のアレクサンダー多項式の零点について,特に詳しく調べる.多項式の対を変形して,その零点を実数にし,それらが実軸上に交互に現れる状況を詳しく調べ,これまでの成果と合わせて論文にまとめる.これに関して,カナダを訪問し,トロント大学名誉教授の村杉邦男氏との共同研究を進める.ファイバー絡み目の不変量であるルドルフ不変量についても,高次元で進められた議論を,3次元空間内での議論で再現できる状況を煮詰め,村杉和の元での加法性に関する結果について,その理由も見える様になる形での証明を完成させる.これに関してクラーク大学名誉教授のリー・ルドルフ氏との共同研究を進める.
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Causes of Carryover |
2,3月に予定していた出張がキャンセルになったため.次年度以降に研究打合せなどに使用する.
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Research Products
(6 results)