2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03296
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
平澤 美可三 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00337908)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 結び目 / 絡み目 / 組み紐 / ザイフェルト曲面 / ファイバー曲面 / アレクサンダー多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
2橋結び目について,その強可逆性性から生じる強対合について,その対称性の元で不変なザイフェルト曲面の最小種数の決定について,作間誠氏および日浦涼太氏との共同研究についてひとまずの完成をみた.これまでに構成した不変なザイフェルト曲面について,その最小性が日浦氏の修士論文や平澤-寺垣内の手法で証明できるものもあったが,特殊なケースではそれらの手法が使えず障害が残っていた.今回,結び目補空間全体ではなく,補空間を最小種数曲面の強対合による付によって切り開いた空間内での議論に帰着する発想を得て,縫い目付き多様体の議論で最小性の証明に成功した. トロント大学名誉教授の村杉邦男氏との研究により,結び目のアレクだサンダー多項式の零点の分布についての研究を促進した.これまで2つの多項式の零点が実軸上に交互に現れる状況を調べていたが,それを拡張し,複数のアレクサンダー多項式の零点が多重に繰り返される状況を調べた.複数の多項式のグラフが,複素数平面上で同時共有点を有する状況も調べることになり,その解析が零点の多重反復性を説明する手がかりになるという感触を得た. ジュネーブのQ・ホングラー氏との共同研究により,絡み目のファイバー曲面を,それ上のループに沿って手術し,新たなファイバー曲面を構成する手法を調べた.これまでに知られているストーリングス捻り,およびその一般化であるハーラー捻りを調べ,更なる拡張を行い,またそれが最良であり,それ以上の拡張は得られないという感触を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ災において,国際共同研究のための渡航ができず進展に遅れが生じてはいるが,zoom を用いた遠隔セミナーも開始できた.
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Strategy for Future Research Activity |
トロント大学名誉教授の村杉邦男氏との共同研究により,実安定的な絡み目族のアレクサンダー多項式の零点の多重反復性を調べる.2橋結び目の中でその現象が顕著にあらわれるクラスに対して,零点の多重反復が起こる仕組みを解明する. クラーク大学名誉教授の L・ルドルフ氏との共同研究により,ファイバー曲面のラムダ不変量の変化の様子を調べる.複数の成分をもつ絡み目で,そのどの成分の向きを変えてもファイバー絡み目であり続けるクラスを構築し,その種数やラムダ不変量の変化の様子を調べる.研究代表者のホップバンド分解を用いた幾何学的な手法とルドルフ氏の解析的な手法の両面からの分析を行う.村杉和における加法性を含め,絡み目,曲面の変形とラムダ不変量の変化について更に詳細な分析を行う. ジュネーブのQ・ホングラー氏との共同研究により,ストーリンスグ・ハーラー捻りの拡張を完全に決定し,ファイバー曲面の捻り操作について統一的な理解を深める. ミシガン州立大学のA・ジャレド氏との共同研究で進めてきた組み紐のスプリットによる絡み目の関係づけについて,絡み目全体についての構造を決定する.
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Causes of Carryover |
コロナ禍にあって,国内外の研究出張が行えず,差額が生じたため2022年度に繰り越した. 状況が改善し次第また出張を再開する.研究打ち合わせについて,新たにzoomなどを用いたオンライン会議という手法が加わり,その環境整備なども行う.
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Research Products
(6 results)