2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K03305
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
近藤 剛史 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (60467446)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Wirtingerの不等式 / コクセター群 |
Outline of Annual Research Achievements |
Wirtingerの不等式はGromovがサイクルグラフからCAT(0)空間への写像に対して示した不等式であったが, この不等式はPansuによってサイクルグラフの非線形スペクトルギャップが線形のスペクトルギャップと等しいことを示すのに使われた. このGromovによるWirtingerの不等式と類似の不等式をサイクル以外の有限グラフに対しても示すことができれば, それを用いて他の有限グラフに対する非線形スペクトルギャップの評価が可能になるのではないかというのが, 我々の研究当初の問題意識であった. 我々は幾つかのコクセター群についての具体的計算から, 一般の有限コクセター群に対してもWirtingerの不等式の変種が成り立つことを予想しており, その不等式の具体形を書き下すことまではできていたが, 証明は得られていなかった. これに証明を与えることができたというのが, 当該年度の主な研究成果である. Wirtingerの不等式とは正確には不等式の族であるが, これらの不等式を適切に足し合わせることで, コクセター群のケイリーグラフの非線形スペクトルギャップのシャープな評価および計算が可能になるであろうと考えられ, これができると, 非線形スペクトルギャップが計算できる例が大幅に広がることになる. また, 我々の示したWirtingerの不等式はパラメータを含んでおり, パラメータをうまくとることで, CAT(0)空間をターゲットとするコクセター群の歪みの計算も可能であると考えており, これらは今後の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有限コクセター群に対するWirtingerの不等式の変種が証明できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
Wirtingerの不等式の変種から従うと考えられる非線形スペクトルギャップの評価を行う. また, Wirtingerの不等式はコクセター群のケイリーグラフのみならず, より広いクラスの多面体の1スケルトンに対しても成り立つと予想している. これらのクラスをどう捉えればいいのかはまだ定かではないが, さらなる一般化に挑戦する.
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