2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03305
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
近藤 剛史 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (60467446)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Wirtingerの不等式 / コクセター群 / 非線形スペクトルギャップ / 非正曲率空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
Gromovによって示されたWirtingerの不等式は, CAT(0)空間への写像に対する非線形スペクトルギャップがサイクルの場合には線形のスペクトルギャップと等しくなることを示すための重要なステップであったが, この話をサイクル以外の有限グラフ, 特にコクセター群のケイリーグラフの場合に拡張できるかというのが, 我々の研究当初の問題意識であった. 一般の有限コクセター群に対して, Wirtingerの不等式を証明することまでは昨年度にできていたが, 今年はそれを用いて幾つかの具体的なコクセター群について非線形スペクトルギャップの計算を行った. 特に, Ivrissimtzis, Peyerimhoffが2013年に行った, ランク3の有限コクセター群のケイリーグラフ上の重み付きラプラシアンのスペクトルギャップの計算の一部に対して, 非線形版を計算することができた. また, 重みを特殊化することで, Kassabovが2011年に行った一般の有限コクセター群に対する一様な重みのスペクトルギャップの計算の一部についても非線形版を得ることができる. その結果, 幾つかのコクセター群のケイリーグラフにおいても, 非線形スペクトルギャップが線形の場合に一致するような例が得られた. 我々はすべての有限コクセター群のケイリーグラフに対し, 重み付きの非線形スペクトルギャップが重み付きラプラシアンのスペクトルギャップに一致すると予想しているが, まだその証明には至っていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
具体的な計算を幾つか実行したが, 一般に成り立つと予想される結果の証明には至らなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
Wirtingerの不等式に現れる重みは, ケイリーグラフを表現空間に埋め込んだ時の辺の長さと関係しているが, この対応を明確にすることが証明の鍵である. ここを詳しく調べて一般のコクセター群のケイリーグラフに対して, 非線形スペクトルギャップの計算を行う.
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Causes of Carryover |
予定していた出張を行うことができず, 旅費が余ったため. 次年度は, ある程度出張ができるようになると期待されるので, なるべく旅費として使用し, 残りはパソコンや書籍等の物品の購入にあてる.
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