2020 Fiscal Year Research-status Report
Deepening and Evolution of Theory of Submanifolds and Harmonic Maps in Symmetric Spaces
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18K03307
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大仁田 義裕 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (90183764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 信 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (10243354)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 微分幾何学 / 調和写像論 / 部分多様体論 / 対称空間 / 等径部分多様体 / ラグランジュ部分多様体 / 可積分系 / リー理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き本研究課題を推進した。前年度末からの世界的なCOVID-19禍により,本研究課題に係る海外での研究活動,国内で国際研究集会実施や海外からの関係の研究者招聘の予定を中止あるいは延期し,本研究課題を次年度(2021年度)へ事業期間延長する手続きをとった。このようなCOVID-19禍の困難な中,国・大学の感染防止の方針を遵守のもと,可能な限り研究課題の遂行に努め,研究はいくつかの進展が得られている。橋本要氏(阪市大数学研究所員),Jong Taek Cho教授(韓国・全南大学)との共同研究は,n次元四元数射影空間の全複素部分多様体から,そのツイスター空間である2n+1次元複素射影空間へリフトされた複素ルジャンドレ部分多様体,4n+3次元標準球面の単位円同変な不変部分多様体かつ極小ルジャンドレ部分多様体,それをもう一つのHopf束で射影して得られる2n+1次元複素射影空間の極小ラグランジュ部分多様体という四元数ケーラー幾何学に派生するこれらの異なる幾何構造をもつ部分多様体の対応関係の仕組みを研究し,とくに,Olmos-SanchezによるR空間の微分幾何的な特徴付け定理を使う方法によって,複素射影空間の平行な第2基本形式をもつケーラー部分多様体が既約エルミート対称空間の等方表現によるあるR空間の射影として得られることを示した。さらに同様の方法によって,四元数射影空間の平行な第2基本形式をもつ全複素部分多様体もまた四元数ケーラー対称空間の等方表現によるあるR空間の射影として得られることを証明した。標準球面の等径超曲面のガウス像として埋め込まれた複素2次超曲面の閉極小ラグランジュ部分多様体に関する入江博(茨城大学),宮岡礼子(東北大学),Hui Ma(中国・清華大学)共同研究は,オンラインで継続して,スペクトル系列の方法でそのホモロジーの計算の問題に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19禍のために,本研究課題に係るドイツ・アウグスブルク大学訪問等の海外研究滞在,韓国等海外での国際研究集会参加や国内外研究者招聘ができず,また本研究課題に関わる国際研究集会等の中止・延期により研究計画遂行にかなりの影響が出ている。本研究課題を次年度(2021年度)へ補助事業期間延長する手続きをとった。最近の研究成果は,中川久雄-高木亮一(1976年)による複素射影空間の第2基本形式が平行なケーラー部分多様体の分類定理の,竹内勝(1978年)や塚田和美(1985年)による四元数射影空間の第2基本形式が平行な全複素部分多様体の分類定理の微分幾何学的な新たな証明を与えるものであり,いくつもの新たな結果が得られているが,論文執筆が遅れている状況である。論文Y. Ohnita: Parallel K\"ahler submanifolds and R-spaces, preprint (submitted), OCAMI Preprint Ser. no.20-21.を執筆し投稿中である。橋本要,J.T.Choとの共同研究の現時点での成果もオンラインの国際ワークショップで研究発表したがまだ十分とは言えない。入江,宮岡,Hui Maとの等径超曲面のガウス像に関する国際共同研究も,オンラインを利用してゆっくりではあるが進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
慎重にCOVID-19禍の状況を見ながら,オンライン利用も工夫しながら柔軟性をもって研究計画を進める。本研究課題が密接に関わる2020年度大型国際研究プロジェクト(京大RIMS訪問滞在型研究,MSJ-SI「微分幾何と可積分系-対称性と安定性・モジュライの数理-」)は2021年度へ延期され,本研究課題に関わる海外研究者らの招へいを予定するが,COVID-19禍により招へいできない場合でも,オンライン併用による研究集会実施等により推進する。また,韓国の微分幾何研究グループとの国際共同研究も,オンラインによる国際セミナーの形で参加する。Jong Taek Cho教授(韓国・全南大学)との共同研究も一層の進展に努める。ドイツ・アウグスブルグ大学幾何学研究グループやHui Ma教授らとの共同研究のための中国・清華大学訪問を予定するが,今後のCOVID-19禍の状況に依り,オンラインによる研究交流や国際共同研究を図りたい。入江,宮岡,Hui Maとの等径超曲面のガウス像に関する共同研究はオンラインも利用して継続して研究成果を挙げる。また,2021年3月の小池直之(東京理科大学)が組織したオンラインOCAMIワークショップにおいてXiaobo Liu教授(北京国際数学研究中心)による等径部分多様体に関するレクチャーを視聴しコミュニケーションをもつことができたのは感銘的で,次年度では小池や若手研究者・森本真弘(大阪市立大学数学研究所)に協力してもらい有限次元及び無限次元等径分多様体研究を進める。
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Causes of Carryover |
COVID-19禍の影響により,本研究課題の推進に関わる2020年度大型国際研究プロジェクト(京大RIMS訪問滞在型研究,MSJ-SI「微分幾何と可積分系-対称性と安定性・モジュライの数理-」)の計画のほとんどが2021年度へ延期されたため,関係の国内外研究者の招聘ができなかった。また,参加予定の韓国での国際共同研究,ドイツ・アウグスブルグ大学幾何学研究グループでの研究滞在,Hui Ma教授らとの共同研究のための中国・清華大学訪問などもCOVID-19禍の影響により遂行できなかった。それらの計画も次年度2021年度へ延期し,その旅費・謝金等の相当額を次年度2021年度で使用する予定である。しかしながら,2021年度もCOVID-19禍の状況を見ながら,それに係る国・大学等の方針・要請を遵守しつつ,可能な限りオンラインや感染防止対策のもとでの研究活動等の創意工夫に努め,本研究課題の成果を挙げるために,本科研費を有効に使用する。
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Research Products
(6 results)