2018 Fiscal Year Research-status Report
Differential/difference algebraic properties of solutions of difference equations
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18K03318
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
西岡 斉治 山形大学, 理学部, 准教授 (10632226)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 差分方程式 / 超超越性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1階有理的差分方程式の解が、代数的微分方程式をみたすのはどのような場合かを明らかにすることを目的として研究を行った。代数的微分方程式をみたさない場合、解は超超越的であるという。線形差分方程式に対してはガロワ理論による研究が行われているが、非線形差分方程式の解の超超越性はガロワ理論の対象外である。ゆえに、古典的な手法を発掘・再評価しながら、それを手がかりとして研究を進めることとした。 乗法的差分方程式(q差分方程式)で定数係数の場合を扱ったRitt(1926)の論文を調査したところ、ポワンカレが提唱した関数のクラスが持つ性質を利用して、解が満たす代数的微分方程式を簡易化していく様子が見られた。この部分を他の差分、例えば通常の加法的差分やマーラー型に一般化することができれば面白いのだが、そもそもどう代数化するかという問題が先にある。 定数係数1階有理的差分方程式の解の超超越性を研究した論文はRitt以外にもあり、すでに発見していた加法的差分方程式の論文一編と本年度に発見したマーラー型差分方程式の論文一編を調査した。まず後者について、本質的と思われる補題を最大限に一般化することができた。ところが、この論文には著者も注意しているように、超超越性を証明する定理の中に場合分けの漏れがあり、ここを埋めることがどうしてもできなかった。証明手法は大枠ではうまいやり方のように見えたため、同様の方針で議論を進める前者の論文に調査を移したが、こちらは途中の計算に間違いがあり、それが原因で「証明」がうまくいってしまったという結果であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昔の論文を調査していれば、不備や誤りを見つけるのはさほど珍しいことではない。二編の論文を通して共通する手法について理解を深めることができた。手法自体の問題点が浮き彫りになったという意味で十分な調査結果が得られたとしてよい。おおむね順調とも考えられるのであるが、マーラー型の論文について、本質的と思われる補題を最大限に一般化できたにもかかわらず、成果として発表できないことが残念でならない。ゆえに、やや遅れているとする。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は定数係数にこだわらず1階有理的差分方程式の解の超超越性を研究する。有理関数係数と定数係数では後者の方が差分方程式としてはやさしそうではあるが、解の超超越性を調べる立場では必ずしもそうとは言えないところがある。Rittの手法については代数化を目指して吟味を続けたい。また、引き続き文献収集により古典的な手法を発掘・再評価する。
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