2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03322
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 久義 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (50272597)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 一般化バルマ加群 / 簡約リー代数 / 簡約リー群 / ユニタリ表現 / 放物幾何 |
Outline of Annual Research Achievements |
簡約リー代数の放物型部分代数の1次元表現からの誘導表現はスカラー型一般化バルマ加群と呼ばれる。本研究における主要な問題は複素簡約リー代数(実際には単純な場合に帰着される)のスカラー型一般化Verma加群の間の準同型の存在問題の解決である。この問題は一般化旗多様体上の直線束の間の同変線形微分作用素の分類と同値であり簡約リー群の表現論や放物幾何などに応用がある重要な問題であると考えられるがLepowskyが研究を始めてから40年以上経っても解決していない。 研究代表者は以前の研究においてこの問題の解についての予想を提出しA型の単純リー代数については予想は正しいことも示していた。 本研究における当面の目標はA型以外の古典型の単純リー代数に対して予想を示すことである。 まず一般論より無限小指標が整の場合に問題が帰着するので以下その場合のみ考える。当該年度においてはA型の場合の論法をA型以外のB,C,D型の古典型の単純リー代数について適用することを試みた。このようなリー代数の放物型部分代数の放物型部分代数のレビ部分は中心を無視すると同じタイプのよりランクの小さい単純リー代数(ランク0も含む)といくつかのA型単純リー代数の直和になる。当該年度に得られた結果はレビ部分のA型直和因子のランクの偶奇が一致しており(D型の場合はD型因子のランクが正という条件が必要)無限小指標が正則という条件の下でA型の場合に対応する準同型の存在のための必要条件が得られたということである。A型の場合はこれが十分条件であるので予想が示せるが、BCDの場合はA型因子のランクについてのある条件が満たされるないとそのままでは予想の解決にはならない。この結果は以前得られた正規な場合(A型因子のランクがすべて一致する場合)の大幅な一般化になっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に得られた成果はRepresentation theory of reductive Lie groups and algebrasにおいて発表し現在論文を執筆中である。それ以外に無限小指標の正則性という条件をはずした場合にB型単純リー代数で放物型部分代数のレビ部分のA型因子のランクがすべて奇数の場合およびC型単純リー代数で放物型部分代数のレビ部分のA型因子のランクが全て偶数の場合には進展があった。証明の方針はあるスカラー型一般化バルマ加群の間の準同型の非存在を言うために背理法で存在を仮定しある種の移送原理型の結果を繰り返し適用し別のスカラー型一般化バルマ加群の間の準同型の存在を示すのだが、そのような準同型が存在しないことは別に示せるので矛盾がみちびけるというものである。 その移送原理の繰り返し適用の候補(複雑な組み合わせ論的な手順で記述される)はすでに見出していて現在実際に移送原理の適用が合法かどうかを詰めているところである。ある程度複雑な実例についてうまく行くのは確認済みである。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度においては論文の完成させ出版活動をすると同時に無限小指標が正則とは限らない上述の場合について証明を詰めていきたい。 また例外型への応用も考慮してより組み合わせ論的な議論に頼らない様な証明を模索していく。
|
Research Products
(1 results)