2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03323
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂井 秀隆 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (50323465)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | パンルヴェ方程式 / 差分方程式 / 特殊函数 / 超幾何函数 |
Outline of Annual Research Achievements |
少し前の結果だが,単著および共著の2本の論文を含む本を,2018年に,日本数学会の Memoirs の1冊として出版できた.これは,4次元パンルヴェ型方程式の分類に関するもので,単著の方(本の Part 1)では,フックス型微分方程式に対応する場合,共著の方(本の Part 2)では,非分岐かつフックス型でない方程式に対応する場合の結果である. それ以外に,パンルヴェ方程式に関する専門書を日本語で執筆中だが,これも今年度中に書き上げたい. 離散の場合を含めたパンルヴェ方程式の超越解と,線型q差分方程式の変換理論について研究を継続中だが,論文を2017年に,それぞれに関して1本づつ出して以来,まだ新しい結果はできていない.海外で研究にいろいろと進展があり,それを理解するのに時間がかかっている.特に,ネクラソフ因子と共形ブロックのいわゆる AGT 関係式だが,c=1 の場合について,セルバーグ積分を経由しての理論を理解しようとしている.超越解については,収束について証明が与えられたとの話があるらしいので,確認中である. パンルヴェ方程式の超越解に関しては,各種の関係式の導出や性質の証明について,また,線型q差分方程式に関しても,一般のスペクトル型を持つ方程式の分類理論および,Kac-Moody ルート系や,Weyl 群対称性との関係などについて,引き続き考察を行なっていきたいと考えている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
少しづつではあるが,計算も進んできている.このまま続けて目標としている結果にたどり着けると考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
この研究課題において挙げてきた,具体的な目標である,離散系などへの拡張を含むパンルヴェ方程式の超越解に関する各種の関係式の導出や性質の証明,線型q差分方程式の変換理論,分類理論について,研究を続けていこうと思う.
|
Causes of Carryover |
2019 年 12 月に東京大学において国際研究集会 Differential systems: from theory to computer mathematics を開催し,その organizer の一人を務める予定である.海外からも人を呼び,大いに交流を深め,研究を進めるための情報を得たいと考えている.そのための費用として,2019 年度の助成金と合わせて 2018 年度の助成金の繰越をしたい.
|