2021 Fiscal Year Research-status Report
Singular limit of the magnetic Schroedinger operators and related inequalities
Project/Area Number |
18K03329
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
峯 拓矢 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (90378597)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 数理物理学 / 大域解析学 / 量子力学 / スペクトル・散乱理論 / アハラノフ・ボーム効果 / 点相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、ポアソン型点相互作用をもつシュレディンガー作用素のスペクトルに関する研究、特にその数値シミュレーションに関する研究を行った。このモデルでは、3次元空間内にポアソン点過程に従ってランダムに配置された点の上に相互作用をもつ系を考える。有界領域に制限したモデルの場合、対応するハミルトニアンのスペクトル解析は、点の個数のサイズを持つ行列の解析に帰着される。前年度までに研究した負エネルギーの束縛状態に対する積分された状態密度(Integrated density of states, IDS)の数値シミュレーションでは、理論的な予測が精度よく再現されていた。一方で、正エネルギーの散乱状態については理論的な予測がなく(散乱状態の有無自体が大問題である)、数値シミュレーションによる結果を観察することは、一定の意義を持つと言える。 しかし、散乱状態を観察するためには、できるだけ広い領域・高いエネルギーのモデルを考える必要があり、そのためにはできるだけ大きいサイズの行列式の計算が必要となる。このとき、3次元シミュレーションでは点の数(行列のサイズ)は領域のサイズの三乗に比例するため、計算量・計算時間の観点から困難が生じる。これを克服するため、 GPU 搭載のコンピュータを導入し、GPUを使用するためのOSやツールなどの環境整備を行った。現在、以前のシミュレーションで用いたR言語のスクリプトをGPU上で実行する方法について調査を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年秋ごろに導入したGPUパソコンで解析を行う予定だったが、2021年12月から2022年1月まで研究代表者の入院のため研究が停滞し、予定より若干の遅れが見られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度導入したGPUマシンで Rスクリプトを実行する環境を整備し、アハラノフ・ボーム効果や点相互作用などのモデルのスペクトル解析に関する新たな知見の発見を目指す。現在、GPU コンピューティングは数理物理学においても大きな注目を集めており、特にスペクトル理論に寄与するようなシミュレーションを見出す事が出来れば、関連分野の発展に寄与することが出来ると思われる。これについても随時情報収集を行っていきたい。
|
Causes of Carryover |
2021年度はコロナ禍のため対面式の研究集会に出席する機会がなかった。2022年度にはコロナ禍が緩和する事が予想されるため、研究集会に出席して研究成果の発表を行い、関連分野の研究者との研究連絡を行う。
|