2022 Fiscal Year Annual Research Report
Singular limit of the magnetic Schroedinger operators and related inequalities
Project/Area Number |
18K03329
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
峯 拓矢 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 教授 (90378597)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大域解析学 / 量子力学 / スペクトル・散乱理論 / 点相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、ポアソン型点相互作用をもつシュレディンガー作用素のスペクトルに関する研究、およびその数値シミュレーションに関する研究を行った。前年度までに、3次元の場合の積分された状態密度(Integrated density of states, 以下 IDS と略す)に関して、スペクトル・パラメータが負の無限大に発散するときの IDS の漸近展開について、相互作用の強さに依存しない主要項のみを求めていた。本年度の研究では、誤差項の評価に対する改良を行い、IDS の漸近展開における、相互作用の強さを反映した第2項を求めた。さらに、得られた数学的結果についてR言語を用いた数値実験を行い、数学的結果が数値実験結果に良く一致することを確かめた。現在、得られた結果について、東北大学の中野史彦氏、東北学院大学の神永正博氏と共同で、論文を作成中である。 また、中野・神永両氏と共同で、複素数値ポテンシャルを持つ離散シュレディンガー作用素のスペクトルに関する研究を開始した。神永氏は、ポテンシャルが周期的な場合にスペクトルの計算結果を得ているが、ポテンシャルがランダムな場合については未解決な部分が多いため、その研究に着手した。現在までに、いくつかの具体的な複素平面上の確率分布について、各格子点上にその確率分布に従う独立同分布なランダム・ポテンシャルを与え、有限区間に制限した作用素の固有値の数値計算を行った。得られた結果を見ると、区間長を大きくしたときに、固有値の分布測度に正規化を施したものが、複素平面上のなんらかの確率測度に収束する様子が観察できた。しかし、この収束についての厳密な数学的証明はまだ得られていないため、現在は収束の証明について研究中である。
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