2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research for solution of difficult cases in Monte Carlo integration
Project/Area Number |
18K03330
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉田 洋 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (50192125)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ブラウン運動 / 局所時間 / 数値計算 / 逆正弦法則 / モンテカルロ積分 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 1次元ブラウン運動の時刻1での局所時間の分布の数値計算法について研究した.局所時間はブラウン運動の局所的な挙動と大域的な挙動の両方に強く依存するため,分布を高い精度で数値的に求めることは大変困難であることは当初より予想していた.次の2つの方法を試みた:(a)局所時間をレヴィーの定義通りに求める方法.すなわちブラウン運動を時間刻みに応じて独立な正規乱数を加えていく方法で構成し,それに対して時間刻みの平方根の幅のダウンクロッシングの数を数える方法,(b)単純ランダムウォークの零点の個数を数えてステップ数の平方根で除して計算する方法.比較の結果,(b)の方法が計算精度および計算速度の両方で優れていることが分かった. (2) 1次元ブラウン運動の逆正弦法則の数値計算法について研究した.対象とした確率変数は次の3つである:0を出発する1次元ブラウン運動の時刻1までの(c)正の側の滞在時間の割合,(d)最後の零点を与える時刻,(e)最大値を与える時刻.(c)は比較的容易であったが,(d)(e)の数値計算は甚だ困難であった.その原因は両方の確率変数とも離散化した場合に0の値を取る確率が予想以上に大きかったことである.そこで,両方の離散化確率変数とも0になる場合を排除して計算することによって正しい近似を得ることができた. (3) 原点を出発する2次元ブラウン運動の時刻1までの第一象限における滞在時間の割合の分布についてきわめて精度の高い数値計算を行った.この分布は現時点で厳密な解析的結果が得られていない未解決問題である.先行研究では分布関数が x=0 付近で漸近的に c x^{1/3} であることが知られていた.我々の数値計算の結果は,分布関数が 0<x<1 で正確に x^{1/3}であることを示唆している.
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Research Products
(1 results)