2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K03333
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平田 賢太郎 広島大学, 理学研究科, 准教授 (30399795)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 半線形楕円型方程式 / ポテンシャル論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は半線形楕円型方程式に関する問題とポテンシャル論における問題について成果を得ることができた。 i) 冪乗型の非線形項を伴う楕円型方程式の斉次Dirichlet境界値問題の解の存在や性質は非線形指数の大小により大きく異なる。さらに,境界が滑らかでない場合は領域の形状も解に影響を及ぼす。今年度の主な目的は,正値解の(大域的な)挙動を知ることのできる評価を与えることであった。2000年のBidaut-Veron氏とVivier氏の研究により,滑らかな有界領域の場合に限り上からの評価が知られているが,証明方法が積分核の具体的表示や可積分性に依存していたため複雑領域の場合には適用できない。本研究では,有界Lipschitz領域において,Green関数に対する評価やGreenポテンシャルに対する反復議論および優調和関数に対する基本的性質を上手く用いて,有界な正値解に対して成り立つ大域的な最良評価を見出し,境界付近での挙動がGreen関数と同様であることを明らかにした。2007年のMcKenna氏とReichel氏の結果により,非線形指数が次元と領域の形状のみで決まる或る定数より小さい場合は正値解に対する一様評価があるので,本研究で得た評価はすべての正値解に対して成立する。 ii) 有界Lipschitz領域やJohn領域において,熱方程式の優解の大域的可積分性について相川弘明氏・原宇信氏と共同研究を行った。時間変数による可積分指数の範囲への影響を明らかにし,熱核評価に基づく証明と箱議論に基づく証明を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたように,優線形楕円型方程式に対する斉次Dirichlet問題の正値解に対する最良評価を得ることができた。また,その評価や証明のアイデアは次年度の研究のヒントにもなるもので,良い形で研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は境界全部でゼロとなる正値解の挙動について研究したが,今後は境界の一部だけでゼロとなる場合について考察する。具体的には,正値調和関数に対して証明された境界Harnack原理が優線形楕円型方程式の正値解に対しても成立するかを調べる。このことがわかれば,特異解の挙動や孤立境界特異点の除去可能性問題に議論展開が可能になろうと考えている。
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Research Products
(8 results)