2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K03333
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平田 賢太郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (30399795)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 半線形楕円型方程式 / 境界挙動 / Hausdorff次元 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,n次元Euclid空間内の単位開球において,劣臨界指数の非線形項をもつ半線形楕円型方程式の正値解の境界増大度と単位球面上の解の特異点集合の関係について考察した。2008年と2011年の研究成果により,正値解は,球面上の殆ど至る所で有限な放射状極限をもち,さらに,境界までの距離の1-n乗(Poisson核の増大度)より速く増大しないことがわかっている。問題は,1-nより大きい負の数bに対して,正値解が境界までの距離のb乗より速く増大するような球面上の点集合(以下,b-特異点集合と書く)のサイズである。調和関数の場合は,Armitage氏(1981)やBayart氏とHeurteaux氏(2013)の結果があるが,一般の優調和関数に対しては,同様の結果は期待できない。しかし,非線形指数が劣臨界の場合,正値解は正値調和関数と同様の振る舞いをすることが,これまでの研究で明らかになってきた。そこで,今年度は,従来のポテンシャル論の方法と非線形性を考慮して,正値解のb-特異点集合のHausdorff次元はn-1+b以下であることを証明した。さらに,球面上にn-1+b次元Hausdorff測度がゼロの集合を与えたとき,それをb-特異点集合とするような正値解が存在することを示すことで,主定理の評価の最良性も示すことができた。正値解の具体的表示がないため,解の挙動を知ることは難しいが,今回の研究結果により,劣臨界指数の非線形項をもつ半線形楕円型方程式の正値解の境界付近での挙動がより明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
半線形楕円型方程式の正値解の挙動を詳細に調べることが本研究の目的であり,上記実績の通り,少しずつ明らかにすることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で研究成果を発表する機会が殆どないため,これまでの研究成果を整理しつつ,課題発見に努め,今後の研究につなげたい。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大防止のため,研究集会が開催されず,出張ができない状況にあるため,未使用となった。コロナ収束後に,研究集会に積極的に参加して,これまでの研究成果の発表および最新研究の情報収集に努めたいと思っている。また,研究環境の整備に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)