2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K03333
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平田 賢太郎 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (30399795)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 劣線形楕円型方程式 / 加藤条件 / 境界挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
測度ポテンシャルμ,νと劣線形指数0<p<1を含む楕円型方程式-△u=μu^p+νのDirichlet境界値問題の正値解の存在について考察した.ポテンシャルμ,νが有界関数の場合は,1980年代から盛んに研究がなされ,有界な正値解の存在や解の各点評価などに関する結果が多く発表された.ポテンシャルμ,νが測度の場合,解の挙動は複雑であり,近年になってエネルギー有限な解の存在に関するμ,νに対する必要十分条件が明らかにされた.一方,微分方程式の研究において,解の存在を広いクラスの中で示した後,解の滑らかさを明らかにすることから,連続な解が存在するための条件を与えることは重要である. 本研究では,連続な正値解が存在するための測度ポテンシャルμ,νに対する必要十分条件について考察した.ニュートンポテンシャルの連続性や定常Schrodinger方程式の正値解の連続性に関係して加藤条件が良く知られている.本研究では,全空間でなく,境界をもつ有界または非有界な領域上で議論しているため,従来の加藤条件では上手くいかないが,Green関数を用いることで必要かつ十分な条件が得られることを明らかにした.この条件が,或るGreenポテンシャルの族の同程度連続性を保証し,不動点定理の方法や逐次近似法によって連続な正値解の存在を導く.ある種の可積分条件のもとで連続な正値解の一意性についても結果を得ることができた.
n次元単位球において,双曲計量に関するLaplace-Beltrami作用素に関する正値優調和関数の境界挙動について考察した.特に,-1より大きい負の数bに対して,正値優調和関数が境界までの距離のb乗より速く増大するような球面上の点集合のHausdorff次元はn-1-b以下であることを明らかにした.調和関数に限定すれば,1-n以上のbに対して同様の結果を得ることができるが,優調和関数の場合は条件-1<bが不可欠である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポテンシャル論の観点から非線形問題の解明を目指すのが本研究課題の目的であるが,本年度は劣線形楕円型方程式について研究成果を得ることができた.さらに,双曲計量に関するLaplace-Beltrami方程式に関する優調和関数の境界挙動に関する結果を得ることができたため,双曲計量に関する劣線形楕円型問題について今後研究を発展させることが可能になった.
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で研究成果を発表する機会が殆どないため,これまでの研究成果を整理しつつ,課題発見に努め,今後の研究につなげたい。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍において,研究集会はオンライン開催が中心となり,今年度は出張の機会がなかったため,当初計上していた情報収集及び成果発表費が未使用となった.次年度は対面で開催される研究集会が増えるものと期待し,これまでの成果発表及び情報収集のための出張費としたい.
|
Research Products
(3 results)