2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K03335
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
泉池 耕平 山口大学, 教育学部, 准教授 (90451434)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 正則関数 / 巡回ベクトル / ヒルベルト空間 / ハーディ空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、解析関数空間の巡回ベクトルの性質について研究を行い、評価のしやすい条件下での特徴付けを行うことを主な目的としている。 (1)整関数からなるバナッハ空間の巡回ベクトルについて研究を行った。それらの空間では体積測度によってノルムが定義され,ベルグマン空間と似た構造をもつ。比較的に緩く減少する関数を荷重に持つ測度で定義される多変数フォック型空間の巡回ベクトルを完全に特徴付けることが出来ているが,測度の荷重がより強く減少する関数であれば,より広い空間となり,ベルグマン空間のような性質が現れると推測でき,これについて研究を行ってきた。ある程度強い条件下であれば,これまでと同じような状況となることがわかった。一方,空間の境界に当たる部分にある関数については現時点で十分な結果が得られておらず,引き続き研究を行う予定である。
(2)多重単位円板上のハーディ空間の巡回ベクトルを考える上で、座標関数の掛け算作用素における不変部分空間の構造解明することは重要であり,本研究課題を進めるためにも,不変部分空間の構造をより深く解明することが望ましい。しかし,現時点でこの観点からの進展は得られていない。ハーディ空間の関数は多重単位円周上の関数と同一視できる。今後は多重単位円周上の関数で考える新たな評価を探っていく。
(3)最近新たに,多くの数学者によってハーディ空間上のある合成作用素の巡回性に関する興味深い研究が行われている。本研究課題と関連があるため,今後その合成作用素についての研究も進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ハーディ空間の巡回ベクトルに関して新たに興味深い問題が出てきたことにより国内外の研究動向が変化したこと,およびコロナウイルスの影響によって予定していた研究打ち合わせなどが延期されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
①これまでに引き続き,より一般的な整関数からなるバナッハ空間の巡回ベクトルの研究を行う。
②新たに,ハーディ空間上の合成作用素に関する巡回性についての研究を行う。この問題については,国内外の研究者と積極的に意見交換を行い,必要があれば共同研究を行うことも視野に入れ,研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
研究に遅れが生じたこと,コロナウイルスの影響により研究打ち合わせなどの延期により,次年度使用額が生じた。令和元年度に予定していたものと合わせ,令和2年度に使用する。
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