2020 Fiscal Year Research-status Report
Geometric analysis on metrics of the moduli of punctured Riemann surfaces
Project/Area Number |
18K03338
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小櫃 邦夫 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (00325763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
愛甲 正 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (00192831)
近藤 剛史 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (60467446)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リーマン面 / モジュライ空間 / アイゼンシュタイン級数 / ケーラー計量 |
Outline of Annual Research Achievements |
点付きリーマン面のタイヒミュラー空間の計量幾何を研究している。リーマン面上の点のまわりの長さ1のホロサイクルを用意し、2つまたは同じ点のまわりのホロサイクル間の距離函数の第一変分公式を既に得ていたが、それを継続的に調べる試みを続けた。ホロサイクル間の距離函数の第二変分公式を調べている。計算はできるが、式が複雑になることがわかり、解析に困難を伴っている。変分公式は積分で表示されるが、座標を取り替えることで、計算がより簡明になることを期待して現在考察している。一方、点付きリーマン面のタイヒミュラー空間のTakhtajan-Zograf計量の研究も継続している。境界近傍における漸近挙動の評価の改良に成功していて、これについては論文を執筆中であるが、まだ漸近挙動を完全に解明した状態ではなく、さらなる改良を試みている。最近、Melrose-Zhu氏は、b-解析の手法を駆使して、Weil-Petersson計量とTakhtajan-Zograf計量の漸近展開の形を決定する仕事をした。しかしまだ、その展開の係数を決定する問題は残っているため、今後も引き続き漸近展開の項の解析を進める必要がある。代表者は、その漸近展開は有限項で終わると予想している。その根拠は、リーマン面の退化は有限回のプロセスで有限個の3点付きリーマン球の和で終わることである。これが実現すると、リーマン面のモジュライ空間のコンパクト化空間は、計量幾何的により調べやすくなることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ホロサイクル間の双曲距離の変分公式は、計算が複雑になり解析に困難を伴っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
Takhtajan-Zograf計量がタイヒミュラー空間上非完備であることを証明したが、それはこの計量でタイヒミュラー空間を完備化することができることを意味している。この完備化空間を特定することが大事なテーマである。さらにできることならば、 Takhtajan-Zofraf計量の接続形式や曲率を計算することも、基本的な問題として残っている。さまざまな曲率が負であることを予想しているが、計算に困難を伴っているため、まずは種数0で尖点が4,5個の場合に計算を試みようと考えている。 また、Takhtajan-Zograf形式をHenchel-Nielsen座標で記述する問題も考えたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ流行の影響で、出張が全くなくなり、当初予定していた旅費を全く使用しなかったため。次年度もまた出張がない状態が続くため、次年度の使用額も少額になると予想される。よって、再来年度に期間延長の申請をする予定である。
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