2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on diffusion processes by analytical methods
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18K03342
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
松本 裕行 青山学院大学, 理工学部, 教授 (00190538)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 拡散過程 / 正定値行列 / ブラウン運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
正定値行列の空間上のラプラシアンについて,岩沢座標を用いた表現で次元が低い空間から帰納的に次元の高い空間へ議論をするものを発見した.この表現を用いることによって,対応する拡散過程(正定値空間上のブラウン運動)に対するウィナー汎関数としての具体的な表示を与えることに成功した.その結果,この拡散過程の行列式が幾何ブラウン運動と同じ確率分布を持つことが分かった.また,他の成分が時間パラメータを大きくすると,収束することも分かった.さらに,この行列式の作る確率過程と行列式が1の正定値行列の積に分解すると,これらが独立になることが分かった.2次行列の場合の様々な量の具体的な表示,漸近挙動の研究結果と合わせて,近日中に論文発表する予定であり,上述の結果の基となった岩沢座標の新しい表現が応用できる他の例について,現在考察中である. 2次元拡散過程の研究についても同時並行的に進めた.問題は,すべてが1次元標準ブラウン運動のランダムな時間変更で表現される1次元拡散過程,一般には標準ブラウン運動の時間変更では表現されない3次元以上の拡散過程と2次元の場合は違いがあるかという問題を考察した.結果は,2次元拡散過程は,1次元とも3次元以上の場合とも異なり,生成作用素があるリーマン計量に付随するラプラス-ベルトラミ作用素の場合に限り2次元標準ブラウン運動の時間変更で表現されるということである.これは新しい結果であるが,現在多くの仮定をしないと証明できていないので,どこまで緩められるかについて検討を重ねている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の2つの柱の第一の正定値行列の空間上のラプラシアンとブラウン運動については,予想以上の結果が得られたと思われる.結果の応用について,今後の課題としている. 一方,2次元拡散過程については技術的に困難な部分が多いが,古典解析を用いるところを確率解析に置き換える方向で考察を重ねている. いずれも,結果は発表できる段階にあり,順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2次正定値行列の空間上の跡公式を構築したい.上半平面との対応は本研究で明らかになっており,基本領域の構成ができれば跡公式の構築ができると考えられる. 2次元拡散過程に関しては,ディリクレ形式の理論を用いるなど,確率解析を用いることで,現在得られている係数がなめらかで狭義正定値という仮定の下での結果を拡張したいと考えている.
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