2018 Fiscal Year Research-status Report
Harmonic analysis for vector bundles on Riemannian symmetric spaces with fine fibers
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18K03346
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
織田 寛 拓殖大学, 工学部, 准教授 (20338619)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 変数分離定理 / プランシェレル測度 / ベクトル値超幾何関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
(a) ファインと称していた研究対象であるKタイプのクラスを「ミニスキュル」に改めた.これは,複素リー群の場合にミニスキュル表現の概念と一致すること,準スプリットリー群の場合は我々のクラスの方が従来からのファインよりも広いことによる.このミニスキュルKタイプの性質を,実スプリット型の場合に還元する手法により調べるとともに,各実単純リー群Gに対する分類作業を進めた.Gが複素のとき,実スプリット型のとき,階数1のとき,SO(p,q)のとき,その他いくつかの場合に分類が完了した. (b) リーマン対称空間G/K上のスカラー値関数の空間の構造は,コスタントとラリスによる古典的な変数分離定理で記述できるが,この変数分離定理をミニスキュルKタイプに値を取る場合に拡張した(Gが複素の場合を扱ったものしか発表していないが,多くのミニスキュルKタイプに対して同様の結果が得られる).これは,ミニスキュルなファイバーを持つG/K上の同変ベクトル束の切断の空間の構造を明らかにする. (c) ヘックマンとオプダムによるルート系に付随する超幾何関数のベクトル値版を考え,それが満たす行列係数の微分方程式系について調べた.具体的には,方程式系の構成,1階と2階の微分作用素による特徴付け,ホロノミー性,対称的な解の一意性,対称的な解を非対称超幾何関数で表す公式,無限遠点での解の展開などである.これらはすべて,(d)ための予備的な結果である. (d) ミニスキュルなファイバーを持つG/K上の同変ベクトル束に対する不変微分作用素環が1階の作用素を持つ場合に,そのベクトル束に付随する球関数を(c)のベクトル値超幾何関数で表す公式を得,それとオプダム変換の逆変換公式により,そのベクトル束に対する球変換の逆変換公式を導いた.特に,逆変換公式に現れるプランシェレル測度の明示公式を与えた.(関西学院大の示野信一氏との共同研究)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(a) 補助事業期間中に完了させることを目的としていた「ミニスキュルKタイプの分類」は予想外に早く進み,あと少しで終了しそうである. (b) 本研究の典型例といえる1階の不変微分作用素がある場合に対する結果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
以下を追求していく: (a) ミニスキュルKタイプの分類の完成. (b) 重複度パラメータが負のときのオプダム変換の逆変換公式. (c) 自明でない2階の不変微分作用素がある場合の球関数の明示公式/球変換の逆変換公式.
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Causes of Carryover |
今年度の研究を遂行するために必要な額が20,000円程不足したため,100,000円の前倒し支払い請求を行った.そのうち80,000円程は次年度以降も必要となる書籍,論文などを前もって購入するために使用するつもりであった.しかし,年度末にいくつかの研究発表が重なってしまい,その準備等により研究を進めたり研究に必要な資料を収集する時間が十分に取れなかった.次年度使用額は,当初の計画通り次年度以降に購入する資料のために有効に用いたい.
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Research Products
(7 results)