2018 Fiscal Year Research-status Report
New developments in the research of discrete Sobolev inequalities - Applications to mathematical engineering
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18K03347
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
永井 敦 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (90304039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀高 惟倫 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (00047218)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グリーン関数 / ソボレフ不等式 / 離散ソボレフ不等式 / 差分方程式 / カオス |
Outline of Annual Research Achievements |
現在過去20年にわたるグリーン関数とソボレフ不等式研究の成果を研究分担者の亀高惟倫大阪大学基礎工学部名誉教授と山岸弘幸東京産業技術高等専門学校准教授と共に1冊の書籍として現在執筆中である。2018年度はこれまでの研究をまとめるのみならず,そこから新たな問題を発見、解決した.特に糸の撓み問題(2階常微分方程式)と棒の撓み問題(4階常微分方程式)の境界値問題からスタートして、境界値問題のグリーン関数の計算、グリーン関数の再生核としての構造究明、そして再生等式からソボレフ不等式の導出、グリーン関数を詳細に調べることによる最良定数と最良関数、言い換えるとソボレフ不等式の等号成立条件の解明を行ってきた.またこの流れを差分方程式に適用することによる離散ソボレフ不等式の導出とその最良定数、最良ベクトルの計算を行った.さらに多変数化、つまり偏微分方程式の境界値問題についてもグリーン関数を求めてその詳細な性質を調べた. 並行して、差分方程式の可積分性とカオス性についても研究を行なった。人口のモデルとして有名なロジスティック方程式には2通りの有名な差分化がある。1つはロジスティック写像と呼ばれるカオス写像、もう1つは森下差分と呼ばれる微分方程式の解を保存する可積分差分力学系である。これらの2つの差分方程式を1つのパラメータでつないだ新しい差分方程式を提案してパラメータの値を0から1まで変化させることによって、方程式の時間発展を調べた。時間発展のグラフ、パラメータを変化させて得られる分岐図、リャプノフ指数の計算を行なって安定性解析を行なった。その結果ロジスティック写像と非常に類似した分岐図が現われることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グリーン関数とソボレフ不等式の研究成果を本の形にまとめるにあたって、予想以上に時間がかかっている。しかしこれは新しい未解決問題が生じたためであり研究遂行に遅れを生じさせるものではない。特に離散ソボレフ不等式研究においてC60とその異性体についての研究をまとめるにあたって、異性体の特徴付け、ネーミングなどの問題が山積している。研究分担者との連絡をより密に取って研究を進めて行きたいと考えている。その中でもC60の研究については、新しい立体の発見、頂点数が少ないまたは多い場合における離散ソボレフ不等式導出など一般化については新たな発見が多く論文にまとめたいと思っている。 一方で離散力学系の研究については、思いかけず本研究開始当初は想定していなかった新しい結果が得られた。具体的にはカオス写像と可積分系写像を1パラメータでつないだ差分力学系に非常に興味深い性質があることがわかった。学会発表や論文の形でまとめたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)可積分性とカオス性の同居する差分方程式の研究 カオス写像と可積分写像を1パラメータで結ぶ離散力学系に関する結果は現在1編の論文としてまとめており、2019年6月にイギリス・グラスゴーで開催予定の国際会議ISLAND5で発表を予定している。さらにカオス性と可積分性が同居するパラメータ付きの差分方程式はさまざまなものが知られており、数値計算や数式処理を駆使しながらこれらの方程式について詳細に調べる。 (2)グリーン関数の研究の深化 並行してグリーン関数についての専門書の執筆をさらに進める。単にまとめるだけではなく、特に離散ソボレフ不等式関係や偏微分方程式については証明が詰められていない部分もところどころ残っている。それらを一つ一つ丁寧に証明するとともに必要に応じて論文の形にまとめ、数学会や応用数理学会などの学会で発表したい。 (2)のグリーン関数については研究分担者の大阪大学亀高惟倫名誉教授と京都や東京で年2回程度、東京産業技術高専山岸弘幸准教授と年8回程度以上会って研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
研究分担者亀高惟倫大阪大学名誉教授との共同研究がメールや電話での研究連絡となった。研究代表者と分担者の間で日程調整が合わなかったため3月に東京での研究打ち合わせが1回しかできなかったため研究旅費に余りが出た。2019年度はより頻繁に京都や東京で実際にゼミを開催し、他大学の研究者も交えてミニシンポジウムを開くなりしたいと考えている。
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