2022 Fiscal Year Annual Research Report
Semiclassical analysis of sprectral and scattering problems on energy-level crossings
Project/Area Number |
18K03349
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
渡部 拓也 立命館大学, 理工学部, 准教授 (80458009)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エネルギー交差 / 準古典解析 / レゾナンス / 遷移確率 / 完全WKB解析 / 準古典超局所解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は「エネルギー交差に係る量子共鳴の準古典分布」及び「エネルギー擬交差間の遷移確率の断熱極限」の2つをテーマに研究を行うものである。 前者については、当初目標としていた問題について既に一定の解決に至っており、当該年度においては、主に後者のテーマについて、愛媛大学の樋口健太氏とともに研究を進めた。これは、時間依存シュレディンガー方程式をモデルとした連立の常微分方程式系について、断熱パラメータのみならず、擬交差のエネルギーギャップも小さなパラメータとした2パラメータ問題である。この研究では、擬交差を生成する(相互作用を考慮しない)エネルギー交差の局所的な性質(交差点での傾きや交差点の個数)が、遷移確率の断熱極限にどのように現れるかを解析することが目的である。 擬交差エネルギーを固定し断熱極限を考える1パラメータの問題としては、遷移確率について既存の結果が多く知られているが、2パラメータ問題として、断熱極限が破綻するほど擬交差のギャップが小さい場合の問題については未解決であった。2021年に渡部-Zerzeriにより、線型交差モデルを基にした擬交差が複数回起こる場合の遷移確率について、ひとつの結果が得られている。 一方、当該年度は接触交差モデルに関して考察を行った。この場合において、完全WKB法が適用できないケース(断熱パラメータより擬交差ギャップを表すパラメータが小さいケース)では既存の標準形理論は存在しないという点が長年の課題である。今回のひとつの成果としては、もう一方の研究課題「エネルギー交差に係る量子共鳴の準古典分布」で培われたエネルギー交差点における局所解の構成に帰着させる方法、特に共同研究者の樋口氏らの研究を援用した。この結果は、多くの研究会・学会で報告を行った。
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