2020 Fiscal Year Research-status Report
膨張宇宙モデルにおけるスケール因子が非線形波動に及ぼす影響について
Project/Area Number |
18K03351
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
津田谷 公利 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (60250411)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 波動方程式 / 爆発解 / 解の存在時間 / スケール因子 / 膨張宇宙 |
Outline of Annual Research Achievements |
標準宇宙モデルとして知られているフリードマン・ロバートソン・ウォーカー時空における非線形波動について考察する.フリードマン・ロバートソン・ウォーカー時空の計量は一般相対性理論に登場するアインシュタイン方程式の厳密解の一つで,一様等方的な物質分布のもとで膨張または収縮する宇宙モデルを表す. 本研究の目的は,解の爆発の条件,爆発解の存在時間の評価を明らかにし,さらに平坦な時空であるミンコフスキー空間の場合での既知の結果と比較することによって,宇宙膨張速度を表すスケール因子が非線形波動に及ぼす影響を解明することである. 本年度もまず,非線形項が未知関数の冪乗であるタイプの波動方程式について研究を行った.昨年度得られた爆発条件は,減速膨張宇宙に対してであった.本年度は等速膨張あるいは加速膨張する場合について研究を行い,解の爆発および爆発解の存在時間の評価を示すことに成功した.1より大きい任意の冪乗で解の爆発が起こるという結果である. さらに,未知関数の偏導関数の冪乗タイプである方程式についても考察した.その結果,減速膨張,等速膨張,加速膨張に対して,いずれも解の爆発条件および爆発解の存在時間の評価を得ることができた.非線形項の偏導関数が時間変数についての場合と空間変数についての場合とで比較してみると,解の爆発条件および爆発解の存在時間の評価が異なり,興味深い結果が得られた.ミンコフスキー空間の場合と比べて解の爆発が起こりやすいということが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず,等速膨張あるいは加速膨張する場合について,1より大きい任意の冪乗に対して解の爆発が起こるという結果を示せたことが大きい.これは任意の小さい初期値に対して時間大域解を期待することは不可能であることを意味する. さらに,未知関数の偏導関数の冪乗タイプである方程式についても,減速膨張,等速膨張,加速膨張に対して,どの場合でも爆発についての結果が得られたことは予想外である. 偏導関数が時間変数についての場合と空間変数についての場合とで,解の爆発条件および解の存在時間の評価が異なる.こちらも予想とは違った結果である.特に,非線形項が時間変数についての偏導関数である場合の爆発臨界条件は,ミンコフスキー空間の場合で登場するGlassey指数の一般化に当たる.
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Strategy for Future Research Activity |
フリードマン・ロバートソン・ウォーカー時空の特別な場合で,ドジッター時空がまだ残っている.これは加速膨張する宇宙モデルの一つである.解の爆発条件を明らかにし,爆発解の存在時間の評価を導き出す.未知関数の冪乗タイプ,未知関数の偏導関数の冪乗タイプの両方で考察していく.
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Causes of Carryover |
最新の研究成果についての学会発表が本年度には間に合わなかったため,次年度に行うことにした.学会発表の旅費で使用する予定である.また論文の1つをオープンアクセス雑誌に投稿しているため,掲載が決まれば掲載費用として使用する予定である.
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Research Products
(4 results)