2019 Fiscal Year Research-status Report
拡散誘導不安定化と非拡散過程が織り成す反応拡散系のダイナミクス探究
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18K03354
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鈴木 香奈子 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (10451519)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 反応拡散系 / 定常解の安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画(1)解の時間大域的挙動の解明(弱解の構成とその安定性)に関連して、これまでに2連立の拡散―非拡散系で得られていた定常解の不安定性に関する結果を、2本以上の非拡散方程式と1本の反応拡散方程式から成る一般の拡散―非拡散系に拡張することを試みた。 2連立の拡散―非拡散系においては、非拡散方程式の非線形項が持つ「自己触媒作用」が定常解の不安定性を示すカギとなった。これに対応した不安定性の条件を明らかにするため、複数の非拡散方程式から成る一般の拡散―非拡散系の非線形項から定義される線形化行列が満たすべき条件を導いた。具体的な数理モデルは、複数の非拡散方程式を持つことが多く、今回の一般化によって、より広いクラスの方程式系について、定常解の安定性を理解することが可能となった。 研究実施計画(3)系のダイナミクスと領域の形状の関連について、昨年度に引き続きパッチモデルにおける物質の移動と安定状態の変化について考察した。肺がん初期に見られる肺胞上皮における巨視的パターンを記述する数理モデルについて、腫瘍因子がパッチ間を動く率が依存する条件と平衡状態の関連について、様々な場合を体系的に考察した。今後は数値実験も交えて、パッチを増やした場合の考察を引き続き行う予定である。 今年度は、非拡散過程が非線形方程式系の解のダイナミクスに与える影響を考察するため、新たな視点からの解析に取り組んだ。近年、ランダムウォークの量子版として期待されている量子ウォークのうち、離散時間量子ウォークについて、時間発展が場所に依存する非線形性を持つモデルのソリトン解の存在とそのダイナミクスを数値実験と共に解析した。周期的に振る舞う解の存在や、ソリトンの衝突などを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
共同研究者と直接会って集中的に研究打ち合わせと今後の方針を確認する予定であったが、双方の都合により出張ができなくなったため、若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画のうち、特に以下のことに取り組む.一つ目は、拡散―非拡散系のダイナミクスと領域の形状の関連について、拡散係数が変数係数の場合について考察し、非一様空間上での系の定常解の安定性と解のダイナミクスを明らかにする。二つ目は、非有界な弱定常解の存在を考察し、拡散―非拡散系の解のダイナミクスについて、より詳しい情報を引き出す.
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Causes of Carryover |
出張がいくつか取りやめとなったため次年度使用分が生じた。今年度は、数値実験の環境を整えるためのPCやソフトを購入する。また、研究協力者との研究打ち合わせの旅費に使用する。
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Research Products
(5 results)