2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K03359
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山本 謙一郎 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (30635181)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大偏差原理 / 区分的単調区間写像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず慶應大学の篠田万穂氏との共同研究において、広いクラスの非マルコフな区分単調区間写像(piecewise monotonic interval map)の最大エントロピー測度が(大偏差原理の成立を示すうえで重要な役割を果たす)ある種のギブス性を持つことを確認した。この結果の一部は論文としてまとめ、専門誌に投稿中である。その後、広島大学の鄭容武氏および慶應大学の高橋博樹氏との共同研究において、区分単調区間写像に対して、最大エントロピー測度が上記のギブス性を持ち、かつ周期点に重みを持つ不変測度が最大エントロピー測度のサポート上の不変測度の中で稠密であるという仮定のもとで最大エントロピー測度をリファーレンス測度として大偏差原理が成立することを示した。この結果は広いクラスの区分単調区間写像に対して適用可能であり、特に今までに大偏差原理の成立が知られていなかったlinear mod 1-transformationやgeneralized beta-transformation、および単調なピースが2つであるような区分単調区間写像に適用可能である。証明には区分単調区間写像に関するMarkov Diagramを用いているが、このMarkov Diagramは高次元の区分的拡大写像(piecewise expanding map)に対しても研究が進んでいる。従って本年度開発したMarkov Diagramを用いた大偏差原理の研究手法を用いることにより、高次元区分的拡大写像に対する大偏差原理の研究も進展することが期待できる。得られた結果は国内外の研究集会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要において述べたように、今まで大偏差原理の成立が示されていなかった広いクラスの区分的単調区間写像に対して大偏差原理の成立を確認できた。さらにこの過程で開発したMarkov Diagramを用いる大偏差原理の研究手法は高次元の非双曲型力学系に対しても適用することが期待できる。以上を勘案して、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度開発した大偏差原理の研究手法を用いて、高次元β変換を含む高次元区分的拡大写像に対して大偏差原理が成立するかどうかを考察する。これらの研究を円滑に行うために国内外の研究集会に参加し、得られた結果の研究発表および参加研究者との研究討論を行う。
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Research Products
(3 results)