2019 Fiscal Year Research-status Report
変分法による周期軌道の個数評価と分岐解析および複雑な軌道の存在証明
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18K03366
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴山 允瑠 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (40467444)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 変分法 / 3体問題 / 不変集合 / Arnold拡散 / シンプレクティック写像 / サドル-センター / ポテンシャル系 / 天体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポテンシャル系において,孤立不変集合のチェックコホモロジーの評価を行った. 制限3体問題にKAM理論を適用したとき,共鳴により不変トーラスが壊れる.実際にKirkwood gapと呼ばれる小惑星の個数が極端に少ない部分はそれに対応する.Kirkwood gapに当初存在していた小惑星が別の領域に移動する現象は,Arnold拡散と関連させて数学的な説明がなされており,Kaloshin氏との共同研究によりArnold拡散によりKirkwood gapから移動し別の惑星に衝突する軌道が存在することを示している.そこで,木星近傍に双曲的な不変集合が存在すれば,捕獲軌道が得られるtことがわかった.木星近傍では,サドルセンター型平衡点から現れる周期軌道が2つあり,その間のヘテロクリニック軌道の存在が言えれば良い.それを示すため,J.D. Mireles Jamesにも加わってもらい,制度保障付き数値計算も用いて,捕獲軌道となることの証明を試みてきた. トーラス上のシンプレクテイック写像について,母関数が無限多価関数となることを利用し,変分法による記号列を実現する軌道の存在を示した.これは,Anosov系やAxiom Aに対するMarkov分割の変分法版と言える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
孤立不変集合のコホモロジーの評価に関する結果は完成した. Kirkwood gapにおけるArnod拡散と捕獲軌道に関する研究は,精度保障付き数値計算の援用を始めたことで進展している. 新たに,トーラス上のシンプレクティック写像に対する変分法による記号列の実現の結果を得た. 以上のことから,順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
孤立不変集合のコホモロジーの評価に関する結果の論文を完成し,投稿する.トーラス上のシンプレクティック写像に対する変分法による記号列の実現の結果も執筆中で,間もなく投稿する. Kirkwood gapにおけるArnod拡散と捕獲軌道の研究は,6月のアトランタでの国際会議の際にJames氏と議論して進展させる予定であったが,コロナウイルス蔓延のため会議が1年延期になってしまったので,SkypeやZoomにより議論し,研究を進める予定である.
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Causes of Carryover |
本研究に関連する研究会が開催される予定であったため,研究成果発表のために予算を前倒ししていたが,2,3月の研究会が全てコロナウイルス の影響で中止や延期となった.そのため,残額が出た. 状況が落ち着けば様々な研究会が開催されるはずなので,その際に発表するために予算を使用する.
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