2019 Fiscal Year Research-status Report
Structure of the solutions to non-linear hyperbolic partial differential equations derived from astrophysics
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18K03371
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
牧野 哲 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (00131376)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 星の内部構造 / 気体星の非動径振動 / 軸対称回転星 / Euler-Poisson方程式 / Einstein-Euler方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、宇宙物理学のテーマである気体星の内部構造の発展を流体力学的にみたばあいの数学的に厳密な取り扱いの理論を確立することである。 そのうち、非相対論の枠組みでのEuler-Poisson方程式の解の構造として、球対称解からの摂動の方程式の数学的研究について、研究の前進があった。すなわち、球対称解からの非球対称摂動について、運動がかならずしも一様等エントロピー的でないばあいについても、厳密な線型化解析の端緒が得られた。 また、相対論の枠組みでのEinstein-Euler方程式の軸対称解の問題については、未解決問題である大域的な真空解への接続問題について、解決への前進があった。すなわち、回転角速度を遠方で切り落とす操作によって不都合の生じないように方程式を定式化する方途をみつけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1年度の研究として、Euler-Poisson方程式に支配される非相対論的気体星の球対称平衡解からの非球対称摂動(非動径振動)の線型化函数解析を遂行して決定的な結果を得たが、これは運動がバロトロピック(圧力が密度の与えられた函数となっている)と仮定していた。ところが、運動が一般的に断熱的ではあるが、一様等エントロピー的でないばあいは、スペクトルがまったく異なる挙動を示すことについて数学的に厳密な扱いが確立されていないことに気づき、第2年度はその研究を鋭意遂行した。紆余曲折の末、ある程度満足できる結果を得たが、もう一押ししたい。一方、相対論の枠組みでの軸対称計量問題については、メキシコでの研究集会における研究交流の成果として課題の解決への重要な前進があったが、上記非相対論の問題追及のために時間がとられ、最終的な結果に到達するには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
非相対論のEuler-Poisson方程式に支配される気体星の内部構造の問題については、球対称平衡解のまわりでの非動径振動についての研究を完成させたい。また、研究の時間がとれなかった軸対称解からの摂動、球対称平衡解のスペクトルからの分岐問題に着手したい。一方、相対論のEinstein-Euler方程式に支配される気体星の軸対称計量の大域的接続問題も解決をめざしたい。ただ、感染症の全地球的な危機により、国際的、国内的ともに対面的な研究交流が不可能な期間が続くと思われるので、その点での研究促進には支障があると予想される。
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