2020 Fiscal Year Research-status Report
非線形放物型方程式に内在する非自己相似的特異性の分類
Project/Area Number |
18K03373
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
関 行宏 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任准教授 (50728970)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 特異性形成 / Type II / 調和写像流方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は様々な非線形放物型方程式で現れる非自己相似的な特異性の形成(Type II 爆発と呼ぶ)に関してその諸性質を明らかにすることを目的としている。 ドイツの若手研究者 P. Biernat 氏と行った調和写像流方程式に対する Type II 爆発に関する論文が専門学術誌 Nonlinearity に出版され、本研究課題の主要な成果を公表することができた。これを踏まえ、本年度は研究計画に沿って一般の球対称爆発解の分類を目指していたものの、いくつかの技術的困難性のため、本年度内での完成には至らなかった。一方、本年度までに得た研究成果とその着想を踏まえ、べき乗型半線形熱方程式に対する振り返りを行い、既存の結果をより高い精度で再証明することが出来た。これは東京大学大学院の博士課程大学院生の向井氏と共同で行うことでより緻密な計算が可能となった。その結果を論文にまとめ、国際専門誌に掲載が確定した。 なお、本研究に関係して、大阪市立大学数学研究所から2021年度数学研究会特別賞が授与された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
藤田方程式、及び調和写像流方程式に関する論文共に国際学術専門誌へ出版され、計画していた研究成果を公表することができた。また、本研究成果により、大阪市立大学数学研究所から2021年度数学研究会特別賞が授与された。残る研究計画に関する予備的考察と情報収集も行っており、解決への道筋がおおよそ見通しの良いものとなってきている。藤田方程式については研究計画時には予期していなかった優臨界指数に対する従来の結果を本研究独自の工夫で精密化するといった副産物も得られている。一方で、新型コロナウイルス感染状況の影響により、本来行う予定であった国内外での研究成果発表を十分に行うことが出来なかったため、有益な情報交換がほとんどできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究も大詰めの段階に来ている。これまでの情報交換・予備的考察により、研究方法としては当初の研究計画に必ずしも拘泥する必要はないことが明らかにされつつある。様々な角度から困難な点を見直し、有効な手法の開発に努めてゆく。 新型コロナウイルスの感染拡大により影響で従来型の研究集会・セミナー等が開催できない代わりにオンラインによる情報交換や研究成果発表も当たり前のように行われるようになった。対面で行う研究集会ほどの効果は期待できないものの、ある程度有益な意見交換を行うことが出来るため、研究発表の方法等を工夫して行きたいと思っている。
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Causes of Carryover |
当初計画では様々な研究集会やセミナーに参加し、参加者と意見交換を行うことで研究を進めて行く予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの研究集会・セミナーが開催中止となった。そのため、旅費の支出が大きく減少し、次年度使用額に持ち越された。次年度は新型コロナウイルスの感染拡大状況に歯止めがかかり、通常通り自由な移動が可能になった場合は持ち越し額を旅費に充てることにする。一方、依然として移動に制限がある場合はオンラインでの研究打合せや意見交換をメインで考え、持ち越し額を打合せ環境の高度化のための機材購入費用や優れた情報を提供してくれた参加者への謝金、および必要な文献の取り寄せ等に充てる。
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