2020 Fiscal Year Research-status Report
Global analysis of the Kirchhoff equation
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18K03377
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松山 登喜夫 中央大学, 理工学部, 教授 (70249712)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | キルヒホッフ方程式 / Gevrey 空間 / 時間大域解 / 外部問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
初期値がGevrey空間に属するKirchhoff方程式の初期値問題に対して、時刻を任意に与えたときGevrey級解がその時刻まで一意的に存在することを証明をしたが、この結果は時間大域解の存在まで証明してはいない。今年度はこのアイディアを進化させ解のライフスパンの性質と組み合わせることによって初期値をGevrey 空間から任意に取ったときの時間大域解の存在を証明することができた。ただし, 初期値のGevreyノルムが収束半径に依存しないというクラスに属することを仮定しているが、このクラスはそれほど不自然ではない。この結果は現在論文としてまとめている段階で国際雑誌に投稿する予定である。証明方法は先の研究で得られたアイディアと背理法を組み合わせることである。すなわち、解が有限時間で爆発すると仮定して矛盾を出すことにある。その際、係数が時間に依存する2階線形双曲型偏微分方程式の解にSchauder-Tychonoffの不動点定理を適用し、線形方程式の解が実はKirchhoff方程式の解となることを示し所要の結果を得ることができた。本研究はフーリエ変換の方法に依っているので、スペクトル定理を考慮すればマルチプライヤーが定義されたヒルベルト空間に対しても同様なことが成り立つ。特に、フーリエ級数を用いれば有界領域の問題が解け、また一般化されたフーリエ変換を用いれば外部領域に対しても同様な結果が得られる。
本研究の課題とは別に、一般領域上のDirichlet LaplacianのBesov空間における双線形評価式の導出に関する論文が J. Math. Anal. Appl. から出版された。この論文は岩渕司氏と谷口晃一氏との共同研究をとおして得られたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目標は、Kirchhoff方程式の初期値が Sobolev空間に属するときの時間大域解の存在を証明することである。しかし、問題は非常に難しく、実解析的あるいはGevrey空間の場合の証明方法ではうまく行かないのが現状である。新たなアイディアを模索している段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
Kirchhoff方程式の研究は非常に難しく今後も取り組み続けるが、結果が出ない可能性もあるので、波動方程式の外部問題の研究も並行して行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で国内外の出張ができず研究旅費を使用できなかったことが原因である。次年度も出張できるかどうか不明であるが、研究費を出張ばかりではなくこれまで購入できなかった情報機器の整備に当てることを計画している。
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