2021 Fiscal Year Research-status Report
定曲率空間における非線形楕円型方程式の正値球対称解の一意性および分岐構造の研究
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18K03387
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
渡邉 宏太郎 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 教授 (30546057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩路 直樹 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (50215943) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 正値球対称解 / 一意性 / リャプノフ不等式 / 精度保証数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
半線形楕円型方程式の正値球対称解の一意性の問題に関する本年度の実績概要について述べる.冪乗非線形項をもつ非線形常微分方程式の2点境界値問題の正値偶関数解の一意性について研究を行った.冪乗項の指数パラメータp>1の他に2つのパラメータλ>=0,l>1をこの問題は含むが,(p,λ,l)のほとんどの場合に正値偶関数解の一意性が成り立つ.これについては,研究を継続しているPohozaev関数の方法を用いて示した.ところが,残された(p,λ,l)の非常に小さな集合上では正値偶関数解の一意性が成立するのか不明な部分があった.この非常に小さな集合上で正値偶関数解が多重存在する場合があることを示すことができたことが,本年度の成果である.存在証明の方法は,精度保証付き数値計算を用いる.精度保証付き数値計算用ライブラリとしてkv-libraryを利用した.精度の高い,解の一意存在定理を用いて,解が体重存在する可能性のあるパラメータ集合を限定しておき,その集合上で精度保証付き数値計算を試みるという方法は,新たな試みと考えている. また,昨年度研究を行った,アニュラス上の非線形楕円型方程式の正値球対称解の一意性定理,同じくアニュラス上のBrezis-Nirenberg問題の正値球対称解の一意性定理,1次元p-Laplace作用素を含む半分線形方程式に非自明解が存在するための必要条件(リャプノフ型不等式で表現される)が学術論文誌に掲載された.アニュラス上の非線形楕円型方程式の正値球対称解の一意性定理はNi-Nussbaum氏の結果を改良するものである.ニュラス上のBrezis-Nirenberg問題の正値球対称解の一意性定理は,この方法とは異なるPohozaev恒等式を用いるものである.1次元p-Laplace作用素を含む半分線形方程式の研究は変分法と一般化三角関数の性質を組合わせて得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,研究成果として学術論文3編を出版することができた.これらは,結果自体は昨年度得たものを含むが,記述方法等での試行錯誤を重ねて得られたと認識している.また,一意性定理を解の多重存在の可能性があるパラメータの限定に用いるという方向性は新たな一意性定理の使用法と考えている.これらの理由で上記の評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
非線形楕円型方程式の正値球対称解の一意性定理を解の多重存在の可能性があるパラメータの限定に用いるという研究を進めたいと考えている.限定されたパラメータ集合に対して,エネルギーの相違,或いはモース指数の相違などを利用した方法で解の多重存在性を示す.これが,困難な場合は,制度保証数値計算により解の多重存在性を示したいと考えている.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により,旅費の使用がなかったことが大きく影響した.次年度も以前影響が見込まれるため,旅費で執行できない場合は,主に資料の拡充に活用させていただく.
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Research Products
(6 results)