2018 Fiscal Year Research-status Report
Forcing axioms and their preservation under forcing
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18K03394
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉信 康夫 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (90281063)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 数学基礎論 / 公理的集合論 / 強制法 / 強制公理 / Banach-Mazur ゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
固有強制法公理(PFA)とは、強制公理と呼ばれる集合論の公理の一種であり、連続体の濃度がアレフ2であることなど多くの帰結をもたらすことから集合論における重要な研究対象である。本研究の目的は、PFAや類似の公理が、どのような半順序集合による強制拡大の下でどの程度保存されるかを体系的に明らかにすることである。以前の研究で、「アレフ2閉」という性質をもつ半順序集合による強制拡大の下でPFAが保たれること、さらにこの「アレフ2閉」を、Banach-Mazur ゲームという2人ゲームのある変種を用いて定義される「*戦術的閉」という性質に弱めても同じことが成り立つことがわかっていた。一方、「*戦術的閉」を、定義に用いるゲームのルールを少し変更することでさらに弱めた「**戦術的閉」という性質をもつ半順序集合による強制拡大では、必ずしもPFAが保存されないこともわかっていた。 平成30年度の研究の結果、代表者は次の成果を得た。 (1)PFAの下での、**戦術的閉な任意の半順序集合による強制拡大において成立するPFAの自然な部分公理を発見した。この部分公理は、PFAの研究初期に知られていたPFAの帰結をほぼすべて導く程度には強い。 (2)Mooreにより導入されたPFAの帰結である写像反映原理(MRP)は、**-戦術的閉なある半順序集合による強制法で破壊できる。よって、MRPは(1)にいう部分公理からは導かれない。 また、(1)、(2)で用いた方法を応用して、「十分大きい濃度κについて、κ閉な半順序集合による強制法は任意の固有半順序集合の固有性を保存するか?」というKaragilaの問題を否定的に解決した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的のうち、PFAの保存については、当初の目標であった**戦術的閉な半順序集合による保存の程度を、保存出来ること、保存できないこと両方の側面から明らかにすることができ、予想より早いペースで解明が進んでいる。さらに、その手法のKaragilaの問題の解決への応用は当初予想しない成果であった。一方、PFAの保存の研究で手一杯であったため、研究の目的のうちマーティンの極大公理(MM)の保存についてはまだほとんど手つかずの状態である。このようにテーマごとの進捗の違いはあるものの、全体としては当初の計画以上に研究が進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
PFAの保存の研究については、平成30年度の研究で明らかになったことが多く、α-PFAなどより精密な概念との関連など新たな切り口も見つかってきているので、これまでの成果を論文にまとめて投稿するとともに、引き続き重点的に研究を続ける。こちらにより重点をおくために、MMの保存についての研究は必ずしも急がないが、関連し得る情報の蒐集に努め、良いヒントが得られ次第本格的に研究を開始する。 研究代表者の家庭の事情により、長期や遠方への出張が難しいので、研究協力者や海外の研究者を名古屋に招いて情報交換を図る。研究成果は論文投稿の他、秋に開かれる集合論研究集会などを利用して発表する。
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Causes of Carryover |
当初は海外での研究発表を見込んでいたが、家庭の事情等があり都合がつかず、実行できなかったため残額が生じた。 次年度も、同様の状況が続くことが予想されるので、国内外の研究者を名古屋に招く回数を増やすことで情報交換の機会の確保に努める。次年度使用額はそのための費用に充てる。
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