2022 Fiscal Year Research-status Report
New aspects of cardinal invariants
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18K03398
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
Brendle Jorg 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (70301851)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 数理論理学 / 集合論 / トポロジー / 測度論 / 強制法 / 基数不変量 |
Outline of Annual Research Achievements |
主に、強制法の理論などの洗練された技法を用いて実数全体の組み合わせ論的構造を集合論の観点から調べた。特に、反復強制法の理論と、実数直線の構造を説明する、最小の非可算基数と連続体の濃度の間の値を取り得る「連続体の基数不変量」の相互関係に焦点を絞った。 まず、Cardona(Kosice 大学)と Mejia(静岡大学)との共同研究で、強零イデアル(strong measure zero ideal SN)の基数不変量の順序について新しい独立性の結果を得た。特に、add(SN) < cov(SN) < non(SN) < cof(SN) の無矛盾性を証明することによって、初めて四つの SN の基数不変量が異なるモデルを構成した。 また、南(愛知学院大学)との共同研究で、極大なほとんど交わりがない集合族 A から生成されたイデアル I(A) に対する splitting number が古典的な splitting number より真に小さいことが成り立つような A を強制法により作り出した。 さらに、Parente(トリノ大学)とのズームによる共同研究の続きで、ブール代数の分割に関する基数不変量を導入し、重要な強制法でもあるコーエン代数やランダム代数の場合にその基数不変量を特徴づけた。 その上、Brech(サンパウロ大学)との共同研究で、自然数全体の部分集合の稠密性に関する幾つかの基数不変量を導入し、その基数不変量と古典的な基数不変量の間の大小関係についての様々な結果を得ており、大小関係がないことを示す様々な独立性の証明もできた。 最後に、極限段階にランダム実数を付け加える shattered iterations をより深く調べ、特に完備なブール代数上の有限加法的な測度の保存について新しい結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連続体の基数不変量の間の大小関係や、その関係を調べるために必要な反復強制法の新しい技術の開発、またそれらと関連する組み合わせ論的集合論のテーマについての研究が非常に滑らかに進んでいる。特に、上記の Parente や Brech との共同研究で、自然な新しい基数不変量を導入し、その不変量の古典的な基数不変量との関係を調べることによって、連続体の構造に関する理解を深めた。また、上記の Cardona と Mejia との仕事で、洗練された反復強制法を用いて SN の基数不変量に関する数年間未解決な問題を解決した。さらに、shattered iteration という技法をより深く理解し、更なる研究の基礎を準備した。 しかし、計算可能性理論におけるチューリング次数の高度性質についての研究が少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
最新の反復強制法の技術をはじめ、無限組み合わせ論、計算可能性理論、トポロジー、測度論やブール代数の理論などの純粋数学の分野の最先端のアイディアを用いて、いくつかの重要な問題の解決に焦点を絞って、基数不変量などの組み合わせ論的対象をいくつかの観点から調べていく。例えば、上記の shattered iterations などの新しい強制法の反復法を発展させ、Cichon の図式の基数不変量の大小関係について新しい無矛盾証明を行っていく。特に、shattered iterations において可算鎖条件 ccc が保存されることの新しい証明を試みる。また、上記の Mejia、 Parente や Brech などの研究者との共同研究を続いて実施する。さらに、計算可能性理論において基数不変量と対応するチューリング次数の高度性質について集中的に研究を行っていく。 本研究計画の分野については世界的に研究が行われているため、国内外の指導研究者との意見交換や共同研究は必要不可欠である。そのため旅費に重点をおく研究計画である。現在、8月にメキシコ国立自治大学モレリア校(Hrusak と Guzman との共同研究)、9月にハンブルク大学(Loewe との共同研究)とトリノ大学(Parente との共同研究)へ海外出張する予定である。また、静岡大学(依岡と Mejia との共同研究)への国内出張も計画している。
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Causes of Carryover |
コロナ危機のせいで、予定された海外出張が部分的に中止となり、予算の使い道がなかった。今後の使用計画について、「今後の研究の推進方策」で書かれてい る。
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